<著者、訳者、内容紹介> 著者:エンツォ・トラベルソ
イタリア人。ツヴェタン・トドロフやジュリア・クリステヴァのようにパリにきた「異邦人」だが、この都に定着してフランス語で思索・研究活動を続けている。現在、アミアンのピカルディ―ジュール・ベルヌ大学助教授。気鋭の社会学者、歴史学者。また、パリの社会科学高等研究院でも教鞭をとったり、欧米のセミナーやシンポジウムに積極的に参加・発言している。
訳者:宇京ョ三 うきょう らいぞう
1945年生。1970年九州大学大学院修士課程修了。三重大学人文学部教授。独仏文化論
主要著訳書:『世界民族問題辞典』(平凡社、項目執筆)、F・オッフェ『アルザス文化論』(みすず書房)、C・ルフォール『余分な人間』(未来社)、J・センブルン『ブーヘンヴァルトの日曜日』(紀伊国屋書店)、E・トラヴェルソ『ユダヤ人とドイツ』、T・トドロフ『極限に面して』(法政大学出版局)、F・フェリシアーノ『ナチの絵画略奪作戦』(平凡社)P・リグロ『戦時下のアルザス・ロレーヌ』(白水社)、B・ソゼー『ベルリンに帰る』(毎日新聞社)、他多数
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マルクス・エンゲルスに始り、カウツキーら第二インター、レーニンらロシア革命の指導者、中央、東欧のマルクス主義者は、ユダヤ人問題を如何に位置づけたか。激化する反ユダヤ主義や深刻なユダヤ民族問題(イディッシュ文化かシオニズムか、同化か分離か)に対し、公式発展史観に立つマルクス主義はしばしば有効な方針を打ち出せなかった。ヒトラーのユダヤ人虐殺に至る歴史の中で、トロツキー、ローザ、グラムシ、アブラム・レオンらは、階級闘争と民族のアイデンティティの間で独自の理論を追及し、マルクス主義の再生の方向を模索した。マルクス主義インターナショナルとユダヤ民族問題は果たして両立するのか。1843年(マルクス『ユダヤ人問題によせて』)から1943年(アウシュヴィッツ)までの論争の、苦渋にみちた追跡の書。
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