|
書名:スピノザ 異端の系譜
著者:Y・ヨベル 定価:7980円
(本体価格7600円+税380円) |
目次 |
第一部 理性のマラーノ
第一章 プロローグ―異端にして破門されしもの:開示された異端性 破門(ヘレム) 政治的な理由は二次的問題 正義に抗する正義/第二章 スピノザ、理性のマラーノ:マラーノたち スピノザにおけるマラーノ的特長/第三章 引き裂かれた精神―アムステルダムの新ユダヤ教徒:ウリエル・ダ・コスタ――帰属意識の諸問題を越えて オロビオとカルドソの証言 墓は語る スペインのプラド博士 アムステルダムのプラド―― 一六五〇年代の危機 メシア主義的異端者――イサーク・ラ・ペイレール/第四章 仮面を被ったマラーノと超越なき世界―ロハスと『ラ・セレスティーナ』:「『メリベア』を著した」改宗者 マラーノに関する隠れた暗示 仮面と曖昧な表現の美学 『ラ・セレスティーナ』の根底に潜む形而上学――純粋内在の世界における無秩序としての愛/第五章 スピノザ・大衆・二重言語:マラーノの言語 哲学的問題としての大衆 大衆のためのプログラム 科学的(「幾何学的」)な言説 修辞的な文脈/第六章 もう一つの救済としての知:第三種の認識――その概略 第三種の認識――その文脈 第三種の認識、再考 世俗的な救済としての第三種の認識/第七章 エピローグ スピノザとその民族―スピノザは最初の世俗的ユダヤ人か?:スピノザとユダヤ人たち スピノザのユダヤ人としての自己イメージの諸要素 最初の世俗的ユダヤ人か/追記 第一部へのあとがき
第二部 内在性の冒険
第二部へのまえがき
第一章 スピノザとカント―宗教批判と聖書解釈学:哲学の前段階としての聖書解釈学 「真の観念」の道から障害物を除去すること――方法の問題 カントと人間主義的な内在 哲学者の行動様式としての聖書解釈学 聖書解釈の方法/第二章 スピノザとヘーゲル―内在としての神は実体か、精神か?:弁証法的批判のパラダイム ヘーゲルによる批判の概観 主体と精神――歴史の役割 ヘーゲル以降の十字路――ニーチェとマルクスに至る通路/第三章 ハイネ、ヘス、フォイエルバッハにおけるスピノザ―人間の自然化:ハイネ スピノザとヘス スピノザとフォイエルバッハ/第四章 スピノザとマルクス―自然内存在としての人間と救済の科学:宗教批判と大衆の役割 内在と人為的な目的論 神学、疎遠な状態、そして疎外 スピノザと『資本論』――救済の科学/第五章 スピノザとニーチェ―〈神への愛〉と〈運命への愛〉/第六章 スピノザとフロイト―解放としての自己認識:フロイトと科学 思想風土 宗教批判 〈リビドー〉と〈コナトゥス〉――欲望としての人間 自己認識 主要な差異――治療と救済 〈ロゴス〉と〈アナンケ〉 結論/第七章 エピローグ―内在性と有限性:内在のドグマ的哲学と批判的哲学/第二部へのあとがき
原注/解説「裏切り」と普遍/訳者あとがき/ユダヤ関係用語略解/索引
内容紹介 |
スピノザの根源を照らし出す!
『エチカ』で知られるスピノザの内在の哲学、その起源には14世紀に始った改宗ユダヤ人《マラーノ》の葛藤状況が存在していた!――異端審問時代のスペイン・ポルトガルにおいて密かに育まれた内在の思想が彼の思索生活のなかでどの様に体系化されていったかを検証するとともに、その哲学がカント、ヘーゲル、ヘス、マルクス、ニーチェ、フロイトらに与えた多大な影響を考察する。