≪訳者、内容紹介≫ 澤田 直 さわだ なお
1959年東京生まれ。法政大学人文科学研究科修士課程終了後、パリ第1大学で哲学の博士号を取得。専攻は哲学、フランス語圏文学、地中海思想。
現在、白百合女子大学助教授。
共著書:『多言語主義とは何か』(藤原書店)、『デカルト読本』(法政大学出版局)
編訳書:『カタルーニャ現代詩15人』(思潮社)、フェルナンド・ペソア『不穏の書、断章』(思潮社)
訳書:タハ−ル・ベン・ジェルーン『気狂いモハ、賢人モハ』(現代企画室)、ジェン-リュック・ナンシー『自由の経験』(未来社)ほか。
★ ☆ ★ ☆ ★
サルトルは1947年から48年にかけてモラル論を準備し、それらは10冊のノートに書きためられていた。その後、ノートの大半は散逸してしまっていたが、1983年に公刊された『倫理学ノートは
』(本邦未訳)は、残っていた2冊のノートをもとにしたものである。その後さらに新しく発見された1冊が、本書『真理と実存』である。
本書の意義は次の3点である。
@本書が二つの哲学的主著『存在と無』と『弁証法的理性批判』をつなぐサルトルの思想の軌跡を見せてくれること。『倫理学ノート』とともに、これまでよく知られていない中期のサルトル思想を理解する最良の鍵となる書物であること。
A本書が、サルトルが生前に完成させることがなかった倫理観を垣間見せてくれること。
B本書が、サルトルとハイデガーの関係に関して新たな資料を提供してくれること(ハイデガーの『真理の本質について』のフランス語訳が出た時期にノートが書き始められている)。
訳者は1959年生まれで最も新しい世代の気鋭のサルトル研究者。
|