書名:〈国語〉と〈方言〉のあいだ(言語構築の政治学)

著者:安田敏朗

サイズ: 416ページ 本体価格3000円
ISBN4-409-04043-X (専門/国語学・カルチュラル・スタディーズ)

《目次》
序章 排除と包摂のなかの「方言」
  第一節 いま,「方言」を語ること/第二節 「方言」の語られる時期−「三つの山」/第三節 「第四の山」と「方言」史認識−壊滅から保存/第四節 近代日本言語史のとらえ方−言語構築の政治学をめぐって/第五節 「方言学」と植民地支配−総括の有無/ 第六節 「国語」と「方言」のあいだ
第一章 近代国民国家と「方言」−「国語」の通時性と共時性のはざまで
第一節 二つの「方言」イメージ/第二節 制度的・学問的に調査される以前の「方言」/明治以前の「方言」/明治初期の「方言」−外国人による採取 /メディアを通じた採取/初期の組織的研究と異言語への視線/収集・調査される存在としての「方言」/言語不通への恐れ/「国語」的言説:皇典講究所での議論
第三節 「方言」調査の学問化:西洋言語学の受容と「方言」論、「標準」論への基本的展開/西洋言語学の受容と「方言」論への応用的展開 /西洋言語論の受容と「標準」論への応用的展開/「方言」調査の「科学」化
第四節 「方言」調査の組織化・制度化:東京帝国大学国語研究室設置/国語調査委員会の設置/国語調査委員会全国口語法・音韻調査/国語調査委員会『方言採集簿』をめぐって
第五節  教育の場で語られる「方言」:1900年代地方教育関係団体発行の「方言集」ブーム」/『佐賀県方言辞典』、『佐賀県方言語典一斑』と中央,学界 /『佐賀県方言辞典』附巻「方言改良の法案」
第六節 日本語系統論と「方言」の語り方―日本語系統論と「方言」の語り方:明治期の日本語系討論/系統論のゆくえ
第二章 「帝国」日本と「方言」
第一節 1930〜40年代「方言」論―「帝国」的言語編制のなかの「方言」
第二節 「帝国」日本と「方言周圏論」、「方言区画論」:「方言周圏論」の問題/「方言区画論」の問題―日本を覆いつくす「方言」/「方言区画論」の整備/「帝国」日本の視線と「方言区画」
第三節 朝鮮語研究と「方言周圏論」、「方言区画論」:小倉進平の場合/河野六郎の場合 
第四節 「方言」のレトリック―日本語非「母語」話者の場合:寺川喜四男と台湾/「外地方言」の設定/「共栄圏日本語」の設定
第五節 「方言」イメージの衝突と「帝国」日本(一九四〇年を前後する「標準語」論と「方言」):沖縄方言論争/教育現場での論議―「方言矯正」のあり方 /学的言説―「二重言語主義」をめぐって   
第六節 「方言研究」から「方言学」へ:日本方言学界の設立/「方言学」の樹立/国語学界への吸収
第三章 「新生」国民国家日本と「方言」
第一節 敗戦後国語国字問題の見取り図―「封建的暗さ」に対置される「民主的明るさ」:敗戦後の「国語」認識―金田一京介の場合/保科孝一の場合/民間団体の場合
第二節 「方言」研究のあり方:全般的特徴/国立国語研究所設置/方言のゆくえ「国語生活」と「日本社会言語学」
第三節 「共通語」の設定―「標準語」との位相:前提としての「全国共通性」/統制なき「共通語」/もう一つの「共通語」
第四節 「標準語教育論争」:「民主化」と「標準語教育」/規範としての言語/否定される多重性/学界の受け止め方
第五節 「方言コンプレックス」に見る言語構築の政治学
終章 「方言」のゆくえ
第一節 「方言」の復権/第二節 「新方言」、「ネオ方言」/第三節 「方言」は国家を越えるか
 註/方言学・言語学に関する諸制度と関連著作年表
  あとがき/人名索引/事項索引/書名・論文索引    

《内容》
  方言概念の成立とその語り方を、国民国家形成期、帝国の中核としての再編期、敗戦後の新生国民国家の三期にわけて論じる。常に国語との関係でしか語られることのなかった方言を通時的に見ることで、現在の多言語文化社会日本がもつ問題性を浮彫りにする労作。

安田敏朗 (やすだ としあき)
1968年神奈川県生まれ。1991年東京大学文学部卒業。/1996年東京大学大学院総合文化研究科博士過程学位修得修了。博士(学術) 。現在、京都大学人文科学研究所助手。
著書 『植民地のなかの「国語学―時枝誠記と京城帝国大学をめぐって』(三元社、1997年)
    『帝国日本の言語編制』(世織書房、1997年)
    『「言語」の構築―小倉新平と植民地朝鮮』(三元社、1999年)
共著書 『世紀転換期の国際秩序と国民文化の形成』(西川長夫・渡辺公三編、柏書房、1999年)
     『ことばの二〇世紀』(庄司博史編、ドメス出版、1999年)他
解説書
 『國語と國字問題の歴史』(平井昌夫著、復刻版、三元社、1998年)

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