《目次》
序章 排除と包摂のなかの「方言」
第一節 いま,「方言」を語ること/第二節 「方言」の語られる時期−「三つの山」/第三節 「第四の山」と「方言」史認識−壊滅から保存/第四節 近代日本言語史のとらえ方−言語構築の政治学をめぐって/第五節 「方言学」と植民地支配−総括の有無/ 第六節 「国語」と「方言」のあいだ
第一章 近代国民国家と「方言」−「国語」の通時性と共時性のはざまで
第一節 二つの「方言」イメージ/第二節 制度的・学問的に調査される以前の「方言」/明治以前の「方言」/明治初期の「方言」−外国人による採取
/メディアを通じた採取/初期の組織的研究と異言語への視線/収集・調査される存在としての「方言」/言語不通への恐れ/「国語」的言説:皇典講究所での議論
第三節 「方言」調査の学問化:西洋言語学の受容と「方言」論、「標準」論への基本的展開/西洋言語学の受容と「方言」論への応用的展開
/西洋言語論の受容と「標準」論への応用的展開/「方言」調査の「科学」化
第四節 「方言」調査の組織化・制度化:東京帝国大学国語研究室設置/国語調査委員会の設置/国語調査委員会全国口語法・音韻調査/国語調査委員会『方言採集簿』をめぐって
第五節 教育の場で語られる「方言」:1900年代地方教育関係団体発行の「方言集」ブーム」/『佐賀県方言辞典』、『佐賀県方言語典一斑』と中央,学界
/『佐賀県方言辞典』附巻「方言改良の法案」
第六節 日本語系統論と「方言」の語り方―日本語系統論と「方言」の語り方:明治期の日本語系討論/系統論のゆくえ
第二章 「帝国」日本と「方言」
第一節 1930〜40年代「方言」論―「帝国」的言語編制のなかの「方言」
第二節 「帝国」日本と「方言周圏論」、「方言区画論」:「方言周圏論」の問題/「方言区画論」の問題―日本を覆いつくす「方言」/「方言区画論」の整備/「帝国」日本の視線と「方言区画」
第三節 朝鮮語研究と「方言周圏論」、「方言区画論」:小倉進平の場合/河野六郎の場合
第四節 「方言」のレトリック―日本語非「母語」話者の場合:寺川喜四男と台湾/「外地方言」の設定/「共栄圏日本語」の設定
第五節 「方言」イメージの衝突と「帝国」日本(一九四〇年を前後する「標準語」論と「方言」):沖縄方言論争/教育現場での論議―「方言矯正」のあり方
/学的言説―「二重言語主義」をめぐって
第六節 「方言研究」から「方言学」へ:日本方言学界の設立/「方言学」の樹立/国語学界への吸収
第三章 「新生」国民国家日本と「方言」
第一節 敗戦後国語国字問題の見取り図―「封建的暗さ」に対置される「民主的明るさ」:敗戦後の「国語」認識―金田一京介の場合/保科孝一の場合/民間団体の場合
第二節 「方言」研究のあり方:全般的特徴/国立国語研究所設置/方言のゆくえ「国語生活」と「日本社会言語学」
第三節 「共通語」の設定―「標準語」との位相:前提としての「全国共通性」/統制なき「共通語」/もう一つの「共通語」
第四節 「標準語教育論争」:「民主化」と「標準語教育」/規範としての言語/否定される多重性/学界の受け止め方
第五節 「方言コンプレックス」に見る言語構築の政治学
終章 「方言」のゆくえ
第一節 「方言」の復権/第二節 「新方言」、「ネオ方言」/第三節 「方言」は国家を越えるか
註/方言学・言語学に関する諸制度と関連著作年表
あとがき/人名索引/事項索引/書名・論文索引 |