文化解体の想像力
シュルレアリスムと人類学的思考の近代

鈴木雅雄/真島一郎 編

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A5判 上製 546ページ 本体価格3900円
                   ISBN4-409-04048-0 (思想・人類学/専門) 

≪目次≫
序章 儀礼と神話
――ある解体の思考の地勢図のために 鈴木雅雄

T 記号・他者・身体
マルセル・モースにおける現実と超現実――シュルレアリスムへ向けた人類学からのいくつかの断片  渡辺公三レヴィ=ストロースとブルトンの記号理論――浮遊するシニフィアンとアウラを帯びたシニフィアン 浅利 誠演劇と憑依――ミシェル・レリスにおける詩学と民族誌 千葉文夫頭蓋・顔・皮膚――フランス仮面論の一系譜 真島一郎人類学とモダニティ ジャン・ジャマン
U テクストと読解

クレオールの対話 アンドレ・ブルトン/アンドレ・マッソンマルティニク島、エグゾティスムにおいてシュルレアリスム的なジャン=クロード・ブラシェール《死せる頭》あるいは錬金術師の女 ミシェル・レリスヤフバ・ハベ幻想――シーブルックと『ドキュマン』期のレリス 真島一郎先コロンブス期の芸術に関するノート バンジャマン・ペレバンジャマン・ペレ、神話理論家としての 鈴木雅雄
V 表現者とフィールド

郷土への回帰――ラム、カブレーラ、カルペンティエルと黒人の呪術 工藤多香子バンジャマン・ペレのプリミティヴィスム ピエール・リヴァース「ギヴ・ミー・ユア・ブック」――ブルトンとホピ・インディアンの出会いに関する覚書 鈴木雅雄アルトーのメキシコとタラフマラ族の啓示――エクリチュールの旅 坂原眞里言葉への旅――ジャン・ポーランのマダガスカル 深澤秀夫
W 驚異・他者・歴史

贈与と驚異――『ナジャ』論 守中高明しなやかにローカルであること――――ジュリアン・グラックと人文地理学 
永井敦子ピエール・マビーユにおける《驚異的なもの》と歴史 イルレマル・シアンピブルトンとピカソ――接近遭遇 谷川 渥「野蛮の品々」と「オブジェ」の三〇年代を巡って 星埜守之/終章 並置と混淆――モダンをこえた読みの不自由について 真島一郎

編集覚書――「そんなものはエグゾティスムだと非難されるかもしれない」 
索引/執筆者・翻訳者一覧/欧文目次

≪編者、内容紹介≫ 

鈴木雅雄 すずき まさお
1962年生。東京大学大学院博士課程中退、パリ第7大学博士課程修了。早稲田大学助教授。シュルレアリスム研究。
著訳書:『地中海 終末論の誘惑』(共著、東京大学出版会、1996)『シュルレアリスムの射程』(編著、せりか書房、1998)、シェニウー=ジャンドロン『シュルレアリスム』(共訳、人文書院、1997)、ブルトン『魔術的芸術』(共訳、河出書房新社、1997)

真島一郎 まじま いちろう
1962年生。東京大学大学院博士課程単位取得退学。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助教授。国立コートディヴォワール大学民族=社会学研究所客員研究員。文化人類学。
訳著:『岩波講座文化人類学9 儀礼とパフォーマンス』(共著、岩波書店、1998)、『植民地経験』(共著、人文書院、1999)、『現代アフリカの紛争』(共著、アジア経済研究所、2000)、ルービン『20世紀美術におけるプリミティヴィズム(T・U)』(日本語版監修・共訳、淡交社、1995)
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実体的な文化概念の解体のあと、私たちはいまどこにいるのか。 内/外なる絶対的な他者の驚異をまえに、          並置と混淆に賭けた二十世紀思想の閃光
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いわゆる未開社会の芸術や神話、あるいはそこに住む人々の思考方法に西洋世界は終始関心を持ちつづけてきた。とりわけ今世紀においては、このことが文化現象全般にわたって甚大な影響を及ぼした。本書は非西洋からの影響を「野生の思考」の浸透拡張と捉え、この思考がいかに深く今日的な知と美の体系に刻印され、いかに多様に具現しているかを考察する論集である。具体的には、近代人類学が成立した20〜30年代を中心に、今世紀の西洋世界がどのように異文化=他者と接触し、それを言語化してきたのかをみる。これは同時に、「文化」が、それまで支配的であった価値観や道徳観を批判する概念に変わる過程をみることでもあり、結果、現代思想の大きな問題系を提示することになるだろう。現代思想と人類学を専門にするニ編者のもと、渡辺公三、谷川渥、守中高明などの気鋭論者のほか、海外からの直接寄稿多数。テーマの一貫性と論の高い密度を誇る本来的な共同研究。

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