素朴への回帰

――国から「くに」へ――

            河原 宏著

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四六判上製 224ページ 本体価格1800円 
              ISBN4-409-04049-9  (思想・政治社会/一般・教養)

≪目次≫
序 虚飾から素朴へ

一 「彫琢(ちょうたく)して朴(ぼく)に復(か)える」
その1・天の巻――「雪がとけたら、何になる?」/その2・地の巻――大震災での人と犬/その3・「人」の巻――1996年アトランタ・オリンピックとその後
二 人間にとって素朴の意味
1 文化としての素朴と洗練/2 「初心」は素朴の原点である/3 素朴とは、しばしば古典の本質である/4 「素朴」は、ときにより革命の情熱をかきたてる
三 近代との訣別――回帰の前提
A 貧富格差の深化と拡大/B ホンネとタテマエの離反
四 「科学の神話」と「技術の定向進化
1 なぜ今、科学・技術の原点を問うのか?/2 「科学の神話」/3 技術の「定向進化」/4 「機事あるものは必ず機心あり」/5 人間はいらない
五 思想としての「素朴」
1 「天」の問い、「地」の問い、「人」の問い/生きかわり死にかわりしてうつ田かな=^「万物、みな我に備わる」
付・「新扶桑国略記」――新しい「くに」への誘い
一 扶桑とはどういう意味か/二 新しい「くに」、新しい人/三 「天職」・「地業」・「人暇」/四 「地業」とはなんですか?/五 憲法はどうなりますか?/六 扶桑国の代表と政務担当者/七 六十五歳以上徴兵制、ほか/八 鎖国≠する権利/九 扶桑国の近縁諸国/十 アジア小国連合を作ります/十一 「自由な土地に、自由な民の住むのが見たい」

あとがき

《著者、内容紹介》

河原 宏 かわはら ひろし
1928年(昭和3年)、東京生まれ。1959年、早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。政治学博士。現在、早稲田大学名誉教授。専攻、日本政治思想史。
主要著書:『昭和政治思想研究』(早稲田大学出版部、1992)、『江戸の精神史――美と志の心身関係』(ぺりかん社、1992)、『「自在」に生きた日本人』(農文協、1998)、『青年の条件―歴史のなかの父と子』(人文書院、1998)、その他
主要編著:『日中関係史の基礎知識―現代中国を知るために』(有斐閣、1974)、『比較ファシズム研究』(成文堂、1982)、『日本思想の地平と水脈』(ぺりかん社、1998)

               ★  ☆  ★  ☆  ★
知識の高下・情報の有無などに関わりなく、また権威の言葉を鵜呑みにすることなく、誰もが自己の評価で直覚的に現在の科学・技術のあり方を判定できる基準は美的判断であろう。・・・・・
一人一人が、自分の素朴な感覚を信じたらよい。現代の科学・技術、たとえば原子力あるいは医学を、美しいと感じているかどうかを。その後で初めて科学・技術が人間の精神生活の中で占めるべき位置づけも明らかにされるだろう。美しいものが美しくありうる社会のあり方も探求されなければならない。これが今後人々が直面するであろう精神革命・社会革命の原点となる。
                                       (本書より)

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