書名:ベンヤミンのアレゴリー的思考 著者:山口裕之 価格:3800円 |
目次 |
序 T 思考モデルとしての『カール・クラウス』 U 古典古代と近代の相互浸透――『ボードレールにおける第二帝政期のパリ』
V 『ドイツ悲劇の根源』の内的構造
W 「アレゴリー的な見方」――ベンヤミンの思考 註・あとがき・参考文献・索引 |
著者・内容紹介 |
山口裕之 やまぐち ひろゆき
1962年生。東京大学大学院総合文化研究科後期博士課程修了。東京外国語大学外国語学部助教授。ドイツ文化研究・ドイツ文学・メディア論。
著作:『ドイツ幻想文学の系譜ティークからシュトルムまで』(共訳、彩流社、1997)他。
俊英による初の本格的ベンヤミン研究
草稿まで踏みこんでなされた、ベンヤミン思考の根本的・徹底的な検証。ベンヤミンの「アレゴリー」という発想を三段構造として捉え、とくに弁証法でいう第二段階目にあたる「両義性」、あるいはデーモン的なもの、時代的にかけ離れたものの空間的な並置といった側面に焦点を置いた研究で、ベンヤミン中期の代表作「カール・クラウス論」をその範例としつつ、それを後期の「パサージュ論」中核のボードレール論、前期の集大成『ドイツ悲劇の根源』にそくして検証した稀有なもの。ベンヤミンについての刺身のつまめいた言及はなされても、本格的に立ち入った研究の少ない現状をみるにつけ、またむしろフランス系のひとたちのほうが積極的なベンヤミン論を提出している現状をみるにつけ、ベンヤミンの使用言語であるドイツ語の専門家による本書の意義は大きいだろう。