書名:
越境する想像力 「モダニズムの越境」(全三巻)第一巻

著者:モダニズム研究会編  西 成彦 稲賀繁美 奴田原睦明 濱田 明他 
             解題‐西 成彦・三宅昭良

定価:2730円(価格2600円+税130円)
サイズ:A5判並製 286
ページ 刊行日2004年4月 
ISBN4-409-04062-2 (専門/現代思想)

*02年2月刊行の『モダニズムの越境』の解体分冊シリーズ

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目次
序 多元の海へ  大平具彦

第一章 越境者たちの言語実験
離脱の思想――ツァラにおける幻想空間の構想 :濱田 明  話す苦痛/話さぬ苦痛――テレサ・ハッキョン・チャの『ディクテ』を読む :長畑明利 
第二章 西洋近代との格闘
オーセンティックなものへのヒジュラ・越境――タイイプ・サーレフの「北へ遷りゆく時」をめぐって :奴田原睦明  岡倉天心とインド――越境する近代国民意識と汎アジア・イデオロギーの帰趨 :稲賀繁美  表象としての「亜細亜」――安西冬衛と北川冬彦の詩と植民地空間のモダニズム :エリス俊子
第三章 サバイバルの記憶/ディアスポラの記憶
「ぼくは身分証明書をなくした」――未決のアイデンティティ 現代イスラエル詩人イェフダ・アミハイ論 :村田靖子  モダニスト・ウィリアムズと過去の克服――『パタソン』における「誤った(滝)の言葉」とは何か? :江田考臣  カナダの小説に見るキッチュと越境―― 『グリーン・ゲーブルズのアン』と『束の間の幸福』 :小畑精和  叙事詩はカリブ海を観光するか――デレック・ウォルコットの『オメロス』をめぐって :三宅昭良  ヒーニーの変化について :加藤光也
 

解題 :西成彦+三宅昭良
あとがき グローバリゼーションの波打際で  西成彦
人名索引


編集委員・内容紹介

大平具彦 おおひら ともひこ
1945年生。東京都立大学大学院博士課程中退。北海道大学言語文化部教授。イメージ表象論・フランス文学・フランス文化論。『トリスタン・ツァラ』(現代企画室)、ツァラ『トリスタン・ツァラの仕事U』(共訳、思潮社)、ブーヴレス『哲学の自食症候群』(法政大学出版局)、ベアール+カラス―編『シュルレアリスム証言集(共訳、思潮社)、サヌイエ『パリのダダ』(共訳、白水社)など。

三宅昭良 みやけ あきよし
1958年生。東京都立大学大学院中退。東京都立大学人文学部助教授。アメリカ文学。『アメリカン・ファシズム』(講談社)、『ファシズムの想像力』(共著、人文書院)、ナボコフ『ナボコフ書簡集2』(みすず書房)、モッセ『ユダヤ人の(ドイツ)』(講談社) 、「意思の闘技場」(「現代思想」1995年6月号)、「光と人種の救済論」(同、1998年8月号)、「花びらの張りついた、濡れた黒い太陽」(「現代詩手帳」1998年9月号)など。

西 成彦 にし しげひこ
1955年生。東京大学大学院博士課程中退。立命館大学文学部教授。比較文学。『ラフカデイオ・ハーンの耳』、『森のゲリラ 宮沢賢治』(以上岩波書店)、『比較文学論T/イディッシュ』(作品社)、『クレオール事始』(紀伊国屋書店)、『20世紀をいかに越えるか』(共編著、平凡社)、『シリーズ言語態6 間文化の言語態』(共著、東京大学出版会)など。


「グローバルな帝国」を視野に入れてモダニズムを語る

「越境」というテーマを軸にモダニズムの流れとその想像力のありようを、現在の表象文化の流れと連関させつつとらえ直そうとしたのが本書である。二〇世紀文学を批評的にふりかえったとき、各国文学の枠組をこえる前衛文学の潮流、「世界文学」としかカテゴライズできない文学の存在に気づかされる。そして、それは帝国主義の問題を避けることはできない。この研究会が対象にすえた前衛文学がその一翼を担うモダニズム運動は、帝国主義なくしてここまで世界化することはなかった。ヨーロッパが前衛芸術運動の震源地であった過去に、研究対象を封じ込めることなく、「グローバルな帝国」を視野に入れてモダニズムを語る。越境的な共同研究から生まれた画期的成果。


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