書名:
権力/記憶 (モダニズムの越境U)

著者: モダニズム研究会編 解題:和田忠彦

定価:2730円 (本体価格2600円+税130円)
サイズ:A5判並製 
304ページ 刊行日2004年9月 
ISBN4-409-04065-0 (専門/現代思想)

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目次
序 多元の海へ  大平具彦

第一章 記憶からいまへ
後期全体主義における言葉の抵抗――クンデラとハヴェルをめぐって  石川達夫/抑圧との闘い  安藤哲行/裏切りの政治学――中国モダニスト穆時英  鈴木将久/フェルナン・レジェと「赤い三〇年代」  村田 宏

第二章 個としての記憶
越境を生きたスペイン女性作家たち――ルシーア・サンチェス・サオルニルとマリア・テレサ・レオン  坂田幸子/死と再生のカオスモス――アンドレイ・プラトーノフ『土台穴』論  亀山郁夫/マリネッティの<自由語>を読む  米川良夫/一線をこえた記憶――エズラ・パウンドにおける記憶としての<アメリカ>  三宅昭良

第三章 記憶の偏差
ファシズムの表象――ジュゼッペ・テラーニの建築をめぐって  田中 純/ロシア革命と民衆の記憶  西中村浩/現代ドイツにおける「記憶の文化」について  大石紀一郎/ファシズム下で無国籍者であること――サヴィーニオをめぐって   和田忠彦

解題 果てしない<裏切り>のために  和田忠彦
あとがき わたしたちは何を忘れようとしているのか  和田忠彦
人名索引


編者・内容紹介

和田忠彦 わだ ただひこ
1952年生。京都大学大学院博士後期過程修了。東京外国語大学教授。イタリア文学。『ヴェネツィアの水の夢』(筑摩書房)、『ファシズムの想像力』(編著)、『カラヴァッジョ鑑』(共著、以上人文書院)、カルヴィーノ『むずかしい愛』(岩波文庫)、『魔法の庭』(晶文社)、『水に流して』(共訳、朝日新聞社)、エーコ『エーコの文体練習』(新潮社)、『エーコの文学講義』(岩波書店)、タブッキ『夢のなかの夢、『フェルナンド・ペソア最後の三日間』(以上青土社)、ロッセリ『闘いの変奏曲』(書肆山田)、、アミーチス『クオーレ』(新潮文庫)、ロンギ『イタリア絵画史』(共訳、筑摩書房)など。

三宅昭良 みやけ あきよし
1958年生。東京都立大学大学院中退。東京都立大学人文学部助教授。アメリカ文学。『アメリカン・ファシズム』(講談社)、『ファシズムの想像力』(共著、人文書院)、ナボコフ『ナボコフ書簡集2』(みすず書房)、モッセ『ユダヤ人の(ドイツ)』(講談社) 、「意思の闘技場」(「現代思想」1995年6月号)、「光と人種の救済論」(同、1998年8月号)、「花びらの張りついた、濡れた黒い太陽」(「現代詩手帳」1998年9月号)など。


「グローバルな帝国」がもたらした文化の世界化のなかでモダニズムはどこに向かうのか。

例えば、ナチズムやファシズムといった全体主義的状況下における〈表現と権力〉をめぐる問題を考えるとき、たんなる歴史的事実の集積としてではなく、〈記憶〉を基点にした表象と政治の同時代性のなかで捉えてみる。そのとき、芸術と政治のはざまで格闘したアヴァンギャルドは、マリネッティ、レオン、プラトーノフという固有名のもと、時空間を越え〈同時代の記憶〉として存在論的に認識されるだろう。あるいは、日中戦争とキューバ革命と東欧革命をめぐる表象は、アレナス、クンデラといった名とともに、亡命や裏切り、共犯や対立といった〈権力〉がはらむ同時代的問題をあぶりだすことになる。気鋭執筆陣による、越境的共同研究の成果。


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