書名:
表象からの越境(モダニズムの越境 全3巻 第3巻)
               (02年2月刊行の『モダニズムの越境』の解体分冊化シリーズ)

著者:モダニズム研究会編 木村榮一・鈴木雅雄・西成彦・高橋世織ほか 解題:三宅昭良

定価:2730円 (価格2600円+税130円)
サイズ:A5判並製 256
ページ 刊行日2004年6月 
ISBN4-409-04066-9 (専門/現代思想)

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目次
序 多元の海へ  大平具彦

第一章 超越の言語表象空間
ツァラ、デュシャン、アラカワ――二〇世紀と言語、空間、建築  大平具彦/ボルヘスと聖なるもの  木村榮一/アンチ=ナルシスの鏡――シュルレアリスムと自己表象の解体  鈴木雅雄

第二章 越境と遷移のポリティクス
フルブンと「死刑囚」の詩的言語使用  西 成彦/他者としての証言――アラキ・ヤスサダとモダン・ホークスの陥穽  長畑明利/モダニズムの展示――巴里新興美術展をめぐって  五十殿利治

第三章 越境的身体
柱と穴――《終わりなき柱》と大地の変容  井上明彦/即興あるいは準拠枠  野坂政司/宮沢賢治におけるインプロヴィゼーション――あるいは吃音的行為  高橋世織

解題 表象・制度・身体の越境  三宅昭良/あとがき 人はこれからどう「カリブ人」になってゆくのか  大平具彦
あとがき


者・内容紹介

大平具彦 おおひら ともひこ
1945年生。東京都立大学大学院博士課程中退。北海道大学言語文化部教授。イメージ表象論・フランス文学・フランス文化論。『トリスタン・ツァラ』(現代企画室)、ツァラ『トリスタン・ツァラの仕事U』(共訳、思潮社)、ブーヴレス『哲学の自食症候群』(法政大学出版局)、ベアール+カラス―編『シュルレアリスム証言集(共訳、思潮社)、サヌイエ『パリのダダ』(共訳、白水社)など。

三宅昭良 みやけ あきよし
1958年生。東京都立大学大学院中退。東京都立大学人文学部助教授。アメリカ文学。『アメリカン・ファシズム』(講談社)、『ファシズムの想像力』(共著、人文書院)、ナボコフ『ナボコフ書簡集2』(みすず書房)、モッセ『ユダヤ人の(ドイツ)』(講談社) 、「意思の闘技場」(「現代思想」1995年6月号)、「光と人種の救済論」(同、1998年8月号)、「花びらの張りついた、濡れた黒い太陽」(「現代詩手帳」1998年9月号)など。

西 成彦 にし しげひこ
1955年生。東京大学大学院博士課程中退。立命館大学文学部教授。比較文学。『ラフカデイオ・ハーンの耳』、『森のゲリラ 宮沢賢治』(以上岩波書店)、『比較文学論T/イディッシュ』(作品社)、『クレオール事始』(紀伊国屋書店)、『20世紀をいかに越えるか』(共編著、平凡社)、『シリーズ言語態6 間文化の言語態』(共著、東京大学出版会)など。


「グローバルな帝国」がもたらした文化の世界化のなかでモダニズムはどこに向かうのか。

「わたし」のなかに他者の存在をみる。複数の「わたし」が交錯する場が問題になるとき、越境は内的原理へと向かう。内なる越境、それはもはや表象・制度・身体といった枠組さえ超越してしまう。本書では、ツァラ、デュシャン、荒川修作、ボルヘス、ブルトンら知覚を越えた表象ならざる表象、ホロコーストやヒロシマなど制度を撹乱する「事件」、そしてブランクーシの柱状彫刻や「即興」、宮澤賢治の吃音など特異な身体性あるいは身体性の喪失を取り上げている。表象、制度、身体からの越境、それは内なる他者、複数の「わたし」の交差と交錯の軌跡である。気鋭執筆陣による、越境的共同研究の成果。


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