書名:
一人称二人称と対話

著者:三輪 正

定価:1890円 (本体価格1800円+税80円)
サイズ:A5判上製 
194ページ 刊行日2005年2月 
ISBN4-409-04070-7 (教養/言語・国語)

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目次
何が問題なのか:多数ありながら使いにくい日本語一人称と一個だけで使いやすい英語漢語などの一人称  問題が多い日本語二人称と簡便な英語漢語などの二人称  一人称が卑罵の二人称になる日本語特有の現象はなぜおきるのか  日本語の一人称二人称では理性的な対話はなりたちにくい

第一章 一人称二人称の過去と現在:日本と世界の言語とにおける一人称二人称/日本語一人称はどうして増えてきたのか/日本語と世界の言語とにおける二人称の増え方と英語のザウの消滅/日本語で一人称が二人称に転用されるのはどうしてか/一人称二人称の相称性と非相称性の問題/一人称二人称の数による言語の分類の試み――対照的な日本語と英語

第二章 日本語一人称二人称と対話:話し手と話し相手とを意味する一人称二人称とそれ以外に多くを意味する日本語一人称二人称/ダイアローグ(対話)の一人称二人称とモノローグ(独話、語り物)の一人称二人称/モノローグの方法としてのレトリック、対話を通して善を追求する方法としてのダイアレクティック、(弁証法) 「わたしは考える」から出発する近代科学/上下の理と対等の理/感情を自然に託してうたう日本語と行為を人称詞に託して語る言語/対等にとって望ましい一人称二人称/日本語が対話や議論にとって好適である条件としての普遍的敬語

結論に代えて:一人称二人称が現在のままではまともな議論はなりたちにくい  日本語では真に普遍的なものの追求は困難  一人称二人称の変化のカギとしての女性の役割  変化は大変むずかしい

あとがき/主な参考文献/事項索引


著者・内容紹介

三輪 正 ミワ マサシ
1926年鳥取県生まれ、京都大学文学部卒、大阪大学文学部助手、フランス政府給費留学生、フランス国立科学研究センター研究員、奈良県立医科大学進学課程助教授、京都大学教養部教授、大阪大学文学部教授、神戸学院大学人文学部教授、大阪大学名誉教授。
Docteur de l'Université de Paris (philosophie)
主著:『議論と価値』(1972年 法律文化社) 『身体の哲学』(1977年 行路社) 『習慣と理性―フランス哲学研究』(1994年 晃洋書房) 、『人称詞と敬語―言語倫理学的考察―』(2000年、人文書院) 
訳書:
ペレルマン著『説得の論理学』1982年 理想社


日本人は「対話」嫌い?それとも…

日本語は漢字、平仮名、片仮名、そのまた草行書体など多様な文字表現を抱えて文章語・詩語としては豊かで便利な、使いやすくもある言語として発展してきた。しかし口語としては同音異義が多く、曖昧で冗長に流れやすく、話しにくく聞きづらい言語でもある。尊敬・謙譲など様々な気配りが必要な一人称二人称と対話の問題から日本語の可能性を追求した類のない日本語論。前著『人称詞と敬語』の姉妹編。


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