書名:近世日本武芸思想の研究

著者:前林清和

定価:3990 (本体価格3800円+税190円)
サイズ:A5判上製 416
ページ 刊行日2006年12月 
ISBN4-409-04081-2(専門書/日本文化思想)

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目次

序章
第一節 本研究の意義・目的/第二節 研究の対象/第三節 具体的研究方法および史料

第一章 道の思想
はじめに/第一節 中世の道の思想:第一項 禅宗における修行と道  第二項 文芸の稽古と道  第三項 武士おける道/第二節 新陰柳生流:第一項 武の倫理と兵法論  第二項 致知格物と道  第三項 平常心/第三節 二天一流:第一項 『五輪書』における兵法  第二項 武士としての兵法の道  第三項 実戦性の重視 第四項 修行の心得/第四節:夕雲流:第一項 儒教的な道  第二項 武士としての道と武芸  第三項 修行者の心得/第五節 起倒流:第一項 術と道  第二項 勝負観  第三項 「武」を通しての「文」/第六節 『猫の妙術』:第一項 術から道  第二項 剣術の道  第三項 『荘子』との関連とその異同

第二章 修行論
はじめに/第一節 日本文化と「型」:第一項 「型」の定義  第二項 「型」の文化的意義  第三項 「型」と道と家  第四項 「型」の修練/第二節 武芸における「型」修行:第一節 手段としての「型」修行  第二項  武芸の修行段階と「型」  第三項 実戦性確保の困難性  第四項 武芸の「型」の意義/第三節 剣術における「型」修行と「構え」:第一項 新陰柳生流における 「構え」  第二項 二天一流における「構え」と「太刀筋」/第四節 東洋思想における瞑想修行:第一項 瞑想の概念  第二項 心的構造からみた瞑想  第三項 身体現象からみた瞑想/第五節  剣術における静的瞑想修行:第一項 剣術史料にみられえる禅修業  第二項 白隠の影響  第三項 山岡鉄舟の禅修業/第六節 剣術における動的瞑想としての「型」修行:第一項 剣術と動的瞑想  第二項 天真白井流  第三項 鹿島神傳直心 影流  第四項 武芸における動的瞑想の性格/第七節 武芸における鍛錬修行:第一項 武芸伝書にみられる鍛錬法  第二項 武芸の理想的身体

第三章 心法論
はじめに/第一節 新陰柳生流:第一項 極意としての心法論  第二項 兵法の根本原理としての心法論  第三項 技と相即した心法論  第四項 目付  第五項 心と気 第六 項 病気/第二節 二天一流:第一項 極意としての心法論  第二項 兵法の根本原理としての心法論  第三項 技と相即した心法論/第三節 夕雲流:第一項 相討・相ヌケ  第二項 極意としての心法論  第三項 気/第四節  起倒流:第一項 極意としての心法論  第二項 勝負の心得/第五節 天神真楊流:第一項 極意としての心法論  第二項 「柔能制剛」  第三項 不動の心と気/第六節 日置流竹林派:第一項 極意としての心法論  第 二項 技と相即した心法論   第三項 弓術における心法論の特徴  第四項 気と病気/第七節 武芸における内的宇宙

第四章 技法論
はじめに/第一節 新陰柳生流:第一項 拍子  第二項 水月・つもり  第三項 能楽の影響/第二節 二天一流:第一項 拍子  第二項 太刀操作  第三項 体勢/ 第三節 近世後期剣術諸流派:第一項 天真白井流  第二項 北辰一刀流  第三項 無法流/第四節 柔術諸流派:第一項 技の基本的 特性  第二項 起倒流  第三項 扱心流  第四項 楊心流  第五項 技術論にみられる身体観  第六項 身体構造論にみられる身体観  第七項 近世柔術にみられる身体観の現代的意義/第五節 弓術流派:第一項 弓術の基本的特徴  第二項 日置流の射法  第三項 技術的 特性  第四項 技術論にみられる身体観  第 五項 身体構造論にみられる身体観/第六節 武芸にみられる技術観:第一項 武芸の基本的技術観  第二項 剣術に特徴的にみられる技術観  第三項  柔術に特徴的にみられる技術観  第四項 弓術に特徴的にみられる技術観

結論

引用/参考文献/あとがき/索引(人名・事項)


著者・内容紹介

前林清和 まえばやし・きよかず
1957年生まれ。1986年、筑汲大学大学院体育研究科修士課程修了 筑汲大学・悸士(文学)。
現在、神戸学院大学人文学部教授、学際教育機構「防災・社会貢献ユニット」ユニツト長
著芸:『武道文化の研究』(共著、第一書房)、『武と知の新しい地平』(共著、昭和堂)、『く気〉の比較文化』(共著、昭和堂)、国際協力の地平』(共著、昭和堂)、『武道文化の探求芋』(共著、晃洋書房)、『国際協力の現場から』(共著、晃洋書房)他。


日本人の心の奥深くに根付いてきた武道を思想史的に研究し、日本文化の一側面をあきらかにする、意欲的研究。

武道やスポーツ、ダンス、芸能などの身体運動を中核とする身体運動文化は、高度な文化活動として、多くの人々に親しまれ、われわれ人類の生活に潤いと豊かさをもたらし、さらに民族や人種を越えて人々が交流するための最も有効な手段として機能してきた。武芸は古代から行われており、中世を経て近世において開花し、さらに武道として近代から現代へ受け継がれ、人間形成の一環として学校教育においても行われている。にもかかわらず、その学問研究、特に人文科学的研究はあまり行われていないのが現状である。近世武芸を道にもとづいた実践哲学ととらえ、そこに見られる独自の心法・技法・技術観・心身観などを明らかにし、さらにその思想的影響についても検討していく。体育学・スポーツ学の範疇を超えて、日本思想、日本文化論、ユング心理学までとりこみ学際的に武芸を探求した意欲的研究。


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