書名:オランピアののリボン

著者:ミシェル・レリス    
訳者:谷 昌親

サイズ:四六判上製 406ページ 本体価格3900円
ISBN4-409-13024-2 (一般・教養/文学)

 
《内容》
 
文学者であり民族学者であったレリス晩年の代表作。独特な言語感覚を駆使した自伝作家としてフランス文壇で活躍したレリスだが、主著『ゲームの規則』全四巻を書き上げたあとは断章形式を創作スタイルとした。本書はその極北であり、マネの『オランピア』に描かれた裸婦の頸のリボンのかもすエロティシズムを前編の綴糸に、過去の記憶・夢物語から創作の構想・哲学的思索までがとじられ、万華鏡のように色とりどりの模様が浮かび上がっている。とりわけ哲学的断章には盟友であったバタイユの影響が見えて興味深い。本書のモチーフであるエロスの問題や、マネの絵画は、バタイユの主著『エロティシズム』『沈黙の絵画(マネ論)』に正確に対応している。

ミシェル・レリス
1901年パリ生まれ。作家・民族学者。20歳頃より詩作を開始。やがてマッソンの知遇を得て24年にシュルレアリスム運動に参加。29年にブルトンと対立しグループを脱退。友人バタイユ主幹の『ドキュマン』誌に協力。31年ダカール=ジプチ、アフリカ横断調査に参加、帰国後は人類博物館に勤務、民族学者としての道を歩む。37年バタイユ、カイヨワと社会学研究会を創立するが、第二次大戦勃発のために活動は停止。戦後サルトルらと『レ・タン・モデルヌ』誌を創刊。特異な語彙感覚を駆使した告白文学の作家として活躍、晩年までその文学的活動は衰えることはなかった。90年没。文学作品に、『成熟の年齢』、四部作『ゲームの規則』、『角笛と叫び』、民族学的著作に『幻のアフリカ』、『黒人アフリカの芸術』他多数。

谷 昌親(たに まさちか)
1955年東京生まれ。早稲田大学大学院博士課程中退。パリ第三大学第3期博士課程修了。文学博士号修得。現在、早稲田大学教授。訳者に、R・ブリアット『ポール・ボゥルズ伝』(白水社)、J・エシュノーズ『チェロキー』(白水社)、H・ベアール『アンドレ・ブルトン伝』(共訳、思潮社)他がある。

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