アルフィエーリ 自伝

上西明子/大崎さやの 訳

内容紹介欄へ

四六判 上製 456ページ 本体価格4500円
                       ISBN4-409-14051-5 (文学/一般教養)

≪目次≫

第一部

第一期 幼年期 
九年間の植物的生育期/第二期 少年期 八年間の教育ならざる教育/第三期 青年期  旅と放埒の十年余/第四期 壮年期 創作、翻訳、研鑽に励む三十年余
第二部
第四期の続き/著者の死について語り、この作品を終結させるべくここに加えられた/カルーゾ神父の手紙

作者注/訳注/解題(西本晃ニ)/訳者あとがき―アスティのアルフィエーリ

≪著者・訳者、内容紹介≫

著者 ヴィットリオ・アルフィエーリ

1749年アスティ生まれ、1803年フィレンツェで没したイタリアの作家。トリノのアカデミーで学んだ後、ヨーロッパ中を巡る旅に出る。母国サルデーニャ王国の専制君主体制を嫌い、1778年に国を棄てトスカーナに移住する。作品における激しい個人的感情の吐露は、従来のイタリア文学には見られなかったものであり、ロマン主義の先駆者とされている。彼はその有為転変の生涯のうちに、数々の悲劇を書いている。『パッツィ家の陰謀』、『ポリュネイケース』、『ティモレオーン』などで、専制君主の圧政に立ち向かう自由な個人の姿を描いた。後年の『サウル』、『ミルラ』は、個人の心理描写がより際立っている点で、彼の悲劇の到達点を示す傑作とされている。またいっぽうで『君主と文学について』、『専制論』などの政治論考を残している。フランス革命の際には、『バスティーユ抜きのパリ』ではじめて革命を称えるが、後のパリ脱出時の危機的経験から一転して『フランス嫌い』では激しい憎悪の情を表している。詩作の方面ではペトラルカに範をとった『有韻詩集』を、ただし劇的なまったく新しいスタイルで著している。

訳者 上西明子 うえにし あきこ
1958年東京都生。東京大学大学院人文社会系研究科南欧語南欧文学専攻博士課程修了。東京都立大学ほか講師。専門は18世紀イタリア文学。
訳者 大崎さやの おおさき さやの
1970年埼玉県生。東京大学大学院人文社会系研究科南欧語南欧文学専攻修士課程修了。同博士課程在学中。専門はイタリア文学・イタリア演劇。
               ★  ☆  ★  ☆  ★

ルソー『告白』やカサノヴァ『回想録』と並ぶ自伝文学の白眉。18世紀イタリア最大の劇作家アルフィエーリは、当時のコスモポリタンであり、その冷静な観察は、フランス革命をはじめ動乱期のヨーロッパを知るうえでの一級資料とされている。アルフィエーリが生きた時代、それは近代の枠組が形作られた時代である。それゆえ本書は、貴重な歴史記録であるにとどまらず、祖国や母語といった現代的な問いをも投げかけてくる。

オーダー