書名:チェーホフの世界 自由と共苦 著者:渡辺聡子 定価:2625円
(本体価格2500円+税125円) |
目次 |
はじめに チェーホフが求めた自由――奴隷から「ほんとうの人間」へ/家庭とは――兄の結婚、妹のこと/ユニークな女友だち――『三年』のラッスーヂナとクンダーソヴァ/囚人の島サハリンへ/メーリヴォ村の変わった地主/チェーホフとシモーヌ・ヴェーユ/農民の世界から――『谷間』の無垢な娘/貧しい農婦と使徒ペトロ――『学生』の母娘(ははこ)/自由をめぐる三部作――『箱に入った男』『すぐり』『愛について』/『犬を連れた奥さん』――「箱」からの解放/結婚――大きな人間 (付)チェーホフ旦那の思い出(農民の回想) あとがき/主な引用文献 |
著者・内容紹介 |
渡辺聡子 わたなべ としこ
1953年生まれ。京都大学文学部卒業後、定時制通信制高校で国語を教えながら、大阪外国語大学と同大学院でロシア文学を学ぶ。現在関西の諸大学で非常勤講師として働く。共著に『女たちの世界文学』(松香堂、1991)
チェーホフ没後一〇〇周年。人間を見つめなおす
日常をつましく生きる人びとの喜びや悲しみにチェーホフは人一倍敏感だった。人間の置かれた悲惨な状況を実見するためサハリンの監獄を訪れ、農民と親しく接して彼らの生活の向上に努めた。著者はシモーヌ・ヴェイユと照応させながら、チェーホフの思想の核に「自由」と「共苦」を措く。没後一〇〇年、作品と足跡を追いながら、人間はいかに生きたらよいかを考える。いま甦る、心洗われるチェーホフ像。