まえがき 序章
T
第一章 空気と世界構造――ヘタうまカフカ:空気のような世界構造――書く出どころと空気/空気としての世界構造――空気と長編/ヘタうまカフカ――書く出どころと書くこと
U
第二章 変成とカタルシス――『アメリカ』『審判』試論:先行する世界把握変成/遅れてくる世界構造/世界観と目的意識/第三章 機構と彼岸の女性像――『城』試論:はじめに/村と城/機構と幻想実体/戦いと彼岸の女性像/第四章 イメージの初源と終焉――カフカ短編小説試論、またはベンヤミンとともにみる必敗の回避:形象論理と所与性――またはカフカの初期短編/イメージとストリー――またはカフカの中期短編/謎と消失点――またはカフカの後期短編
V (旧構想間奏)
第五章 女 へ――ムージル『合一』『三人の女』における愛と不倫:カントとムージル/愛の三角関係/物語の析出/第六章
空虚でたのしい走行――カフカ「罪、苦悩、希望、真の道に関する考察」について:小説以外の散文作品での倫理構成/行為の抑制と是認/走行の成功との構造/第七章 凝固と反転――カフカの感覚と対象性についての斜視的間奏:日常感覚と作品世界/凝固と二重身/反転の作品的実現
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第八章 真理と正義――ベンヤミンのカフカ論について:世界の年齢(ヴェルトアルター)とはなにか――ベンヤミンのカフカ論の完備性・構築性/太古と神話――ベンヤミン思想そのもにおける成果と問題点/第九章 ベンヤミンのヘルダーリン論または『海辺のカフカ』――「詩作されるもの(ダスゲディヒテテ)」をめぐって:ベンヤミンの立論前提の再整理――過去分詞一般の三重性と三相の圏域/ベンヤミンのヘルダーリン把握――根本的ただしさと原理的あやうさ/村上春樹における「詩作されるもの(ダスゲディヒテテ)」――傑作『ねじまき鳥クロニクル』作品圏と駄作『海辺のカフカ』作品圏/第十章 カフカとベンヤミンにおける彼岸的なものの近代的位相――超越論敵世界と宇宙、あるいは思考可能性と論理総体:カントと福音書とアメリカ――理性宗教ならぬ超宗教と啓示のオイレカと独立独歩の良心/カフカにおける論理的に彼岸的なもの――「ことがらのさらに外なる全体者」とそこからの視線/ベンヤミンにおける思考的に彼岸的なもの――「メシア的なもの」と対応する歴史内現在/終章
注/あとがき/初出一覧
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