書名:ラシーヌ、二つの顔 著者:山中知子 定価:4095円
(本体価格3900円+税195円) |
目次 |
T ラシーヌと批評 <宿命>と自己認識/フェードルの悲劇――悲劇的世界観 U ドラマツルギーの展開 V ユダヤ的典拠――《エステル》《アタリー》をめぐって W ラシーヌとモーリアック X ラシーヌとポール=ロワイヤル 註/あとがき/初出掲載一覧/参考文献/索引(人名/書名) |
著者・内容紹介 |
山中知子 やまなか ともこ
大阪大学文学部仏文学科修士課程修了。 十七世紀フランス劇文学専攻。現在、追手門学院大が区分学部教授。
著訳書:『黄金伝説第四巻』(共訳、人文書院)、R・ブルノ/R・ウエレ『小説の世界』(共訳、駿河台出版)、『フランス文学/男と女』(共著、勁草書房)、『フランス文学を学ぶ人のために』(共著、世界思想社)他。
ラシーヌ悲劇の根底にある特徴的な二重性を問う!
優れた創作者は、決して簡単に二つの引き出しに仕分けられるような人間を描かない。なぜなら、人間は、たがいに矛盾する逆説的な両面を合わせ持つのが普通で、そういうアンビバレンスを描ききってはじめて、人間が書けているということになるからである。しかし、ラシーヌの矛盾、逆説の幅は常識的範囲を超えている。その揺れ幅の大きさはどこから生まれるのか。ラシーヌ劇の中心理念を、人間は調停不可能な二つの矛盾した要求に引き裂かれた存在であるとする悲劇的世界観に結びつけて論じた意欲の論集。