書名:平家物語への旅 著者:西田直敏 価格:1800円 |
目次 |
日本人に親しまれた平家物語/平家物語と女人往生――祇王、仏御前、小宰相/鹿が谷謀議の破綻――俊寛の悲劇/橋合戦――高倉宮、源頼政の挙兵/黒田節と平家物語――嵯峨の月と旧都の月/奈良炎上と平重衡の運命/平清盛の死――堕地獄の苦しみ/老武者の執念、斎藤別当実盛/平家一門都落ちの人間模様/木曽義仲と源頼朝の戦い――佐々木高綱と梶原源太、宇治川の先陣争い/木曽義仲の最後/一の谷の合戦/囚(とら)われ人・重衡の関東下向と維盛の熊野逃避行/源義経の屋島奇襲/源平最後の決戦、壇の浦/平宗盛・重衡の処刑と時忠の流罪/義経の逃避行と英雄伝説/文覚の生涯と六代/平家物語の終わり方――潅頂の巻と建礼門院の極楽往生/平家落人伝説の里
付・平家物語はどのようにして読まれてきたか |
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西田直敏 にしだ なおとし
1931年生れ。1956年東京大学大学院(国語国文学)博士課程修了。1955年博士(文学)。北海道大学文学部教授を経て、甲南女子大学文学部教授。
本書は題名通り、一風変った「平家」である。「平家」の底流になっている「諸行無常、盛者必衰」の思想は、文学、平曲、能、狂言、歌舞伎、人形浄瑠璃、錦画、児童読物などの作品に現れ、日本人の人生観・宗教観や美意識、道徳に大きな影響を与えてきた。研究書、注釈書、エッセイなど、「平家」についての出版物は挙げればきりがない。物語に登場する源平の多彩な人物に関係する土地も数多い。「平家物語」はまさに、偉大な国民文学として愛されてきたのである。著者は専門の国文学・国語学の該博な教養をフルに本書に注ぎ、ストーリーを簡潔に追いながら、「平家」がもっているこれらの豊穣な世界を読者に提供する。さらに、宇治川や壇ノ浦、能登の時国家など日本中の「平家」ゆかりの地を訪れ、日本人が平家をどのように受けとめ、今どのように地元に根づいているかを考察する。本書を手に、平家の土地を訪ね、平家の醍醐味を楽しもう。 |