書名:小林秀雄の論理 美と戦争 著者:森本淳生 価格:2900円 |
目次 |
序章 読解、批判、批評 第一章 自意識とその「外部」:「宿命」の理論/「女」という他者/「読者」という他者/実践としての批評/「言語上の唯物論」/「内面化」のプロセス 第二章 「主体」と「表現」:自意識から「主体」へ/鏡像のプロセス/「表現」の「主体」/時代と「表現」/青年知識人の「悲劇の表現」/不安の「反映」、不安の「表現」 第三章 「私」という問題:「混乱」に自覚、あるいは「問題」という場/実生活の/と表現/横光利一とジイド/ドストエフスキー/伝統、生活、読者/転向 第四章 「内面化」される批評:民族、民衆、伝統/文学と「日本的なもの」/[文学主義」――戸坂潤との論争/「表現行為」の表現/古典と歴史/歴史叙述と「表現」 第五章 美と論争:戦争と文学者/非常時と尋常時/前線と銃後のあいだ/「沈黙」と「表現」/美、自然、戦争/表現論の完成 註/文献一覧/あとがき |
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森本淳生 もりもと あつお 柄谷行人とも、江藤淳とも違う斬新な小林論。 緻密なテクスト分析による力業 小林秀雄については文学から思想まであまたの論が書かれているが、それらは例外なく、一方にイデオロギー的断罪に終始する態度、他方に文学的批評のみに限定して、とりわけ戦時中の発言を例外として退ける態度の二極に分かれる。ヴァレリーを専門とし、小林の批評原理の探求にこそ関心を向ける著者は、厳密なテクストクリティークによって小林の論理構造を読み解き、小林の一貫性をまったく新しい像として描く。内在的理解を失わずかつ極端なレッテル貼にもならないこの第三の小林論は、批評という営為の本質を浮かび上がらせる。 |