書名:文学の力 戦争の傷痕を追って 著者:音谷健郎 定価:2310円
(本体価格2200円+税110円) |
目次 |
T 文学の力 (一) 屹立する志――山代巴、農村女性と歩む 鶴 彬、反戦句鋭く川柳改革 沖野岩三郎、大逆事件語る覚悟 槙村 浩 、反戦・革命の詩人 中野重治、転向見すえた粘りの筆/(二) 焼えつくす魂――原 民喜、至純の世界を追って 久坂葉子 、伝説化した才気の終末 岸上大作、「恋と革命」の挽歌 島田清次郎、文壇外小説の栄光と転落 金 鶴泳:内面深く垂らした錘(おもり)/(三) 傷痕の証言(中国)――横光利一:『上海』、民衆のダイナミズムを凝視 石川達三『生きている兵隊』、南京の悲劇を告知 清岡卓行『アカシアの大連』、モダニズム詩人を生む街 木山捷平『長春五馬路』、「満州国」の幻想 島木健作『満州紀行』、開拓移民の危うさ/(四) 事件としての文学――中野重治の詩の波紋 斉藤三鬼と京大俳句事件 里村欣三の徴兵忌避 太田洋子の小説削除 高橋和巳と「わが解体」
U 海峡のこだま
V 越境した日本語
W 徴用作家の軌跡
X 風土が生む文学 あとがき/掲載一覧 |
著者・内容紹介 |
音谷 健郎 おとたに たつお
1944年広島県生まれ。広島大学経済学部卒業。1968年朝日新聞入社。京都、神戸支局、大阪・社会部などを経て大阪・学芸部記者。2004年7月定年退職。現在フリー。
日本とアジアの文学の現場を訪ねる
戦争や植民地支配の中で、日本やアジアの作家たちは自分の表現と生き方を求めてどのように苦闘したか。著者は、時代の流れの渦中で書かれた作品を読み直し、その現場に足を運び(日本各地、韓国、中国、台湾、東南アジア)、関係者に話を聞き、日本の近代文学を下から担った作家たちの営為の跡を追求する。文学の衰退がささやかれる昨今、「文学の力」とは何かを考える問題作。朝日新聞に好評連載。