書名:
貧困と共和国―社会的連帯の誕生

著者:田中拓道

定価:3990円 (本体価格3800円+税190円)
サイズ:A5判上製 304
ページ 刊行日2006年1月 
ISBN4-409-23037-9(専門書/社会・フランス社会史)

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目次

序論

第一章 社会問題
第一節 導入/第二節 革命期――〈市民的公共性〉と〈政治化された公共性〉 「公論」/「友愛」/「貧困」への視座/第三節 世紀転換期のイデオローグ――〈社会科学の公共性〉 「王立科学アカデミー」から「フランス学士院」へ/「社会数学」と「社会生理学」/第四節  一八三〇年代――「社会問題」の登場 七月王政期支配層の秩序像/大衆的貧困/社会問題…統計・モラル・危機

第二章 社会経済学――「新しい慈善」
第一節 導入  先行研究と視角/言説の場――道徳的政治科学アカデミー/第二節 政治経済学 十九世紀初頭までの政治経済学/七月王政期の政治経済学/第三節 社会経済学 社会経済学用法史/社会経済学の秩序像…富と幸福・新しい慈善・参与観察・博愛主義批判・平等と階層化/社会経済学の統治像…アソシアシオン・国家/第四節 社会経済学の展開

第三章 社会的共和主義――「友愛」
第一節 導入 先行的研究と視角/言説の場/第二節 社会問題と共和主義 未刊の革命/人類という宗教/第三節 「友愛」の共和国 アソシアシオンからナシオンへ/普通選挙と労働の権利/第四節 「友愛」の隘路 「法」と「モラル」/「人民」の「代表=表象(représentatìon)/第五節 第二帝政期――「友愛」から「連帯」へ 第二帝政の成立/共和主義の再構成…「友愛」批判・「デモクラシー」

第四章 連帯主義――「連帯」
第一節 導入 先行研究と視角/言説の場――大学と「知識人」/第二節 「連帯」の哲学 「科学」と「実証主義」/コント・ルヌーヴィエ/自由と決定論/契約・権利・連帯/第三節 「連帯」イデオロギーの成立 連帯主義/デュルケーム社会学…社会的連帯・アノミー・同業組合と国家/第四節 「連帯」の制度化 フランス福祉国家形成研究史…保守主義的解釈・自由主義的解釈・急進主義的解釈/言説の場の複数性/社会的なものの拮抗…労働災害補償法・退職年金法

終章

あとがき/文献/索引(人名・事項)


著者・内容紹介

田中拓道 たなか たくじ
1971年西宮市生まれ。1995年国際基督教大学教養学部社会科学科卒業。2001年北海道大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、北海道大学大学院法学研究科専任講師。博士(法学)。専攻 政治思想史、現代福祉国家論。主要論文:「フランス福祉国家論の思想的考察―『連帯』のアクチュアリティ」(『社会思想史研究』28号、2004年)など。


貧困、不平等から社会的連帯と公共性へ!フランス福祉国家形成にいたる思想史的過程の研究。

フランス革命初期に「近代社会」の秩序原理が提唱されて以降、そこに内在する平等主義と事実的に存在する不平等との乖離がどのように思想的に問い直され、七月王政期の「社会問題」認識の成立に至ったのか。さらに「社会問題」への対応策として、自由放任主義と社会主義との間に唱えられた支配層の諸思想を、「政治経済学」「社会経済学」「社会的共和主義」「連帯主義」の四潮流に区分し、十九世紀を通じたこれらの対抗関係を叙述することで、二十世紀に成立するフランス福祉国家を準備した思想史的過程を包括的に解明しようとする意欲的な試み。

☆ 第13回(2006年)社会政策学会奨励賞受賞
   (学会賞選考報告) 


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