書名:世界に宿る魂(アニマ・ムンディ) 思考する心臓(こころ)

著者:J・ヒルマン 
訳者:濱野清志

サイズ:四六判上製  186ページ 本体価格2200円
ISBN4-409-33044-6 (専門・教養/心理学・ユング派)

《目次》
謝辞
心臓の意識
第一章 囚われたこころ
 獅子のこころもしくは獅子心王/ハーヴィーの心臓/アウグスティヌスのこころ
第二章 美のこころ
 カーロン・カガトーンとユング/「別の状態(order)に移行すること」
 激情の砂漠で吼える獅子/白い硫黄とこころの幻想
世界の魂(アニマ・ムンディ)
 こころの現実性(phychic reality)/世界の魂(アニマ・ムンディ)/アイステーシス
 いくつかの現実的効果/むすびにかえて
原注 訳注 訳者あとがき

《内容》
 
本書収録の二つの講演(『心臓の意識』と『世界の魂』)においてヒルマンは、個人の分析にとどまらず個人を包む世界そのものを視野に入れたこころと魂の問題を縦横に論じる。心臓をこころや意識や思考が定位する場と捉え、世界や事物の知を感受する感覚器官と象徴的に見なす、ユング派分析家の中でも異色の存在、魂の心理学者ならではの独特の世界把握が圧巻。
心臓(こころ)とは本来何だったのか。その自立的なはたらきに目を向けた「原型心理学」の独特の考察に、みちている。

ジェイムス・ヒルマン
1925年にアメリカに生まれ、フランス、アイルランドで学んだのち、スイス、チューリヒでユング派の分析家になった。その後、ユング派の分析心理学の基礎として、個人の分析にとどまらず、この世界そのものを視野に入れたこころの問題を考えていこうとするようになる。その自らの方向性を1970年代に入って、「原型心理学」という名称で呼びはじめ、ユング派の一つの流れにとどまらず、その思想に共鳴するユング派分析家以外のさまざまな領域の思想家とも相互に影響し合いながら、アメリカを舞台に現在もなお刺激的な講演・著作活動をおこなっている。

濱野清志(はまの きよし)
1956年神戸に生まれる。1979年京都大学法学部卒業。1987年京都大学大学院教育学研究科博士後期過程修了。1989年臨床心理士。現在、九州大学アドミッションセンター助教授。および九州大学大学院人間環境学科人間共生システム専攻心理臨床家コースジ助教授(兼任)。九州大学学生生活・修学相談室カウンセラー。
共著書 『人間関係と心理臨床』(吉田圭吾編、培風館、1998)
     『心理臨床の実際 学生相談室』(河合隼雄・藤原勝紀編、金子書房、1998)
共訳書 『ユング心理学辞典』(A・サミュエルズ他著、創元社、1993)
     『エセンシャル・ユング』(A・ストー編著、創元社、1997)

オーダー