書名:
日本仏教の射程
     
―思想史的アプローチ

著者: 池見澄隆/斎藤英喜 編著

価格:2300円
サイズ:A5判 292
ページ 刊行日2003年3月 
ISBN4-409-41073-3 (専門・教養/仏教史)

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目次
<はじめに> 日本仏教のパースペクティブ――面(スペース)を軸として――*池見澄隆

古代
神仏習合の始まり:『日本書紀』に示された日本仏教のはじまり/国分寺の建立と東大寺大仏造営の思想 *八重樫直比古〈特論〉 「神仏習合のはじまり」の隣で――『唐大和上東征伝』から浮かび上がる問題中国文化の中の受容されなかったもの/『唐大和上東征伝』の鑑真と道士/道士の渡来を拒否する背景/天平・勝宝の遣唐使を派遣した日本の朝廷/高句麗の泉蓋蘇文と天平の遣唐使中臣名代/玄宗皇帝の老子崇拝/結語*八重樫直比古/都市と曼陀羅の宇宙――平安前期の仏教思想皇帝と菩薩と―九世紀の世界像/嵯峨と空海と―神仙世界と曼陀羅的世界*稲城正巳/新たなるユートピアへの旅――平安後期の仏教思想『空也誄』から『続本朝往生伝』へ―浄土教とは何か/示現と巡礼と―人と仏が出会う場所*稲城正巳〈特論〉 女人成仏説にみる古代中世の女性と仏教「女性と仏教」の視点/女人成仏の論理/尼の評価/女性は菩薩の化身/変成男子の実態*西口順子

中世
中世寺院の転換と鎌倉仏教の成立祈祷と武力/鎌倉仏教の祖師たち/芸術と信仰*佐藤弘夫/鎌倉仏教の土着性と国際性:京の仏教・鎌倉の仏教/本地垂迹と寺社縁起/アジア世界と日本仏教*佐藤弘夫〈特論〉 本覚思想をめぐって本覚思想とは何か/本覚思想の意義/本覚思想の影響*佐藤弘夫/浄土教思想の発展とその民衆化浄土宗の興隆/良忠門下の発展― 一向宗・時宗/念仏宗の発展と布教伝道の多様化*笹田教彰/禅の精神と文化室町期の禅宗/禅の文化/五山の文芸*竹貫元勝〈特論〉 「浄土神楽」といざなぎ流――「仏教」と「民俗」をめぐる諸問題「仏教民俗学」をめぐって/「浄土神楽」という視界/いざなぎ流の「ミコガミ神楽」の現場/陰陽師・法者・博士*斎藤英喜

近世
仏教思想が近世に生み出したもの――煩悩即菩提論と王権仏授説仏教的世界としての近世/徳川将軍権力と仏教*大桑 斉/古(いにしえ)への問いと心の思想江戸後期仏教思想への視点/古への問いと心の思想との分離/心の思想のゆくえ*前田一郎〈特論〉 東アジア世界と日本近世の仏教東アジア世界の中の日本近世/東アジアと南蛮との狭間で/明清交替と日本中華論/〈心学〉世界の形成*大桑 斉〈特論〉 暦と陰陽道中国の暦/日本の暦/陰陽道の成立/近世の陰陽師編成/貞享暦と陰陽道*林 淳

近代
近代日本の思想史と「宗教」「仏教」「信仰」福沢諭吉の文明論と「宗教」/福沢の「宗教」論とその波紋―井上円了・清沢満之・内村鑑三/暁鳥敏の「信仰」史から―内省と自分史の語り/おわりに*福島栄寿〈特論〉 近代日本の仏教とその諸相近代仏教と戦争/近代仏教と差別/近代仏教と信教の自由*赤松徹真〈特論〉 浄土宗の共生運動仏教思想の近代化/椎尾弁匡と仏教哲学/共生運動の理念と浄土教*大南龍昇〈おわりに〉 日本仏教思想史の深層歴史の表層−歴史の深層/祖師たちの「死後再会」観/時代思潮との交差*池見澄隆

あとがき/執筆者紹介


編者・内容紹介

池見澄隆 いけみ すみたか
1941年福井県生れ。大谷大学大学院博士課程満期退学。現在、佛教大学文学部教授。浄土宗学研究所嘱託研究員。2001〜02年ロンドン大学(SOAS)にて研修。博士(文学・東北大学)。
主論著:『増補改訂 中世の精神世界』(人文書院)、『葬祭仏教―その歴史と現代的課題』(共著、ノンブル社)、『日本人の佛教』6(共著、東京書籍)、『図説・日本仏教の世界』3、6、別巻(共著、集英社)、『世界の諸宗教』(共著、晃洋書房)ほか。

斎藤英喜 さいとう ひでき
1955年東京都生まれ。日本大学大学院博士課程満期退学。現在、佛教大学文学部助教授。
主論著:『アマテラスの深みへ』(新曜社)、『いざなぎ流―祭文と儀礼』(法蔵館)、『アマテラス神話の変身譜』(編著、森話社)『シャーマニズムの文化学』(共著、森話社)、『〈安倍清明〉の文化学』(共編著、新紀元社)ほか。


古代の仏教導入と神仏習合からはじまり、中世の浄土教、女人往生、鎌倉仏教と本覚思想、禅の広がり、近世江戸期の王権と寺院、庶民仏教の発展、近代と仏教の近代化など、日本の仏教は、時代ごとの国内・国外の条件に触発されて特異な変遷を経てきた。本書は、仏教各派の消長や経典学説史にとどまらず、民衆の仏教受容のありかたや海外との交流の中で日本の仏教の流れをおさえ、かつ「特論」を設けるなど編集上の工夫と最新の資料を用いた、興味をもって読める最適の、多様な視点に満ちた仏教思想のガイダンスの書。


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