書名:
社会をつくる仏教
      エンゲイジド・ブッディズム

著者: 阿満利麿

価格:1800円
サイズ:四六並製 248
ページ 刊行日2003年6月 
ISBN4-409-41075-X (一般・教養/仏教)

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目次
はじめに

T 仏教と非戦

U 真宗の社会倫理

真宗の社会倫理―――清沢満之と高木顕明を貫くもの――:なぜ真宗の社会倫理を問うのか/「真俗ニ諦」の問題/真宗的社会倫理の根拠/清沢満之の信心中心主義/高木顕明の実践/結論

平等の慈悲――高木顕明追悼「遠松忌」講演――:宗教は個人の私事か/近代国家と慈悲/暁烏敏の課題/蘇る高木顕明

真宗の活力源――今村恵猛事跡――:今村恵猛のハワイ布教/「米国の精神」と親鸞/労働者の人権擁護と日本語学校/機根に応じ、歴史に学ぶ/「痩せた宗教観」を超える/現実と対話する

宗教と経済倫理:経済行為に倫理を回復する/「仏教経済学」の足跡/「凡夫」という視点/近江商人の限界/高木顕明と内山愚堂/京極逸蔵の視点/当面の課題――妹尾義郎マックス = ニーフ/おわりに――ニーズとグリード

V 天皇の「人間宣言」と靖国問題

「人間宣言」から「門首制」まで――戦後精神の課題――:「元旦詔書」の投げかけたもの/自然宗教と共鳴する天皇制/「生き神」としての天皇/法王から門首へ

靖国神社の「脱宗教化」とは何か:官房長官発言の背後にあるもの/日本人の中に根強く生きる「自然宗教」/自然宗教を宗教扱いしない風潮/自然宗教を切り捨てる「痩せた宗教観」/日本人の宗教観は雑居的か/死者を国家から解き放つ

W 凡夫と他力

なぜ他力なのか

私と歎異抄

「非常の言葉は常人の耳に入らず」――大谷専修学院同朋講座――:井上靖『化石』の中の「本当の生き方」/意味の世界を求めて/信心の力/常識を壊さないと宗教には出会えない/「完全なる立脚地」/凡夫と自分で自分を裏切る存在/人間は固有の業録を背負っている/丹羽文雄の悲しみ/「無碍の一道」を歩む

あとがき/初出一覧

 


著者・内容紹介

阿満利麿 あま としまろ
1939年生れ。京都大学教育学部卒業後、NHK入局。社会教養部チーフ・ディレクターを経て、1987年4月より明治学院大学国際学部教授。日本宗教思想史専攻。
主著:『中世の真実』(人文書院、品切)、『宗教の深層』(人文書院、ちくま学芸文庫、人文書院版品切)、『法然の衝撃』(人文書院、オンデマンド版で再刊行)、『日本人はなぜ無宗教なのか』『人はなぜ宗教を必要とするのか』(ともにちくま新書)、『柳宗悦』(リブロポート)、『国家主義を超える』(講談社)他。


仏教は戦争や貧困、差別、迫害などの社会悪にいかに立ち向かうか

仏教は世の中の苦しみに背を向けてはならない、それが釈迦のいう利他の教えである。――著者はこのような思想に立って、真宗の仏教者たち(清沢満之、高木顕明、今村恵猛ら)の足跡を検討し、戦争や靖国問題に対する仏教者の態度を問い、日本の仏教に伝統的に欠けている精神=「エンゲイジド・ブッディズム」(Engaged Buddhism)と仏教の社会倫理の大切さを力説する、仏教と仏教者の現状に異議を申したてる。あわせて、「凡夫と他力」の自覚にもとづく真宗の人間観の根源性に執着する。『日本人はなぜ無宗教なのか』の著者が、「仏教と非戦」を掲げて久々に世に問うラジカルな発言。


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