書名:
アルザス文化史

著者:市村卓彦

価格:4800円
サイズ:
A5判上製 490ページ 刊行日2002年2月 
ISBN4-409-51050-9 ( 専門/西欧史・地域史)

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目次
まえがき/アルザス概略

先史時代からローマ帝国支配まで:先史時代 /ローマ帝国の支配
フランク王国のアルザス:フランク王国メロヴィング朝(四八二〜七五一)/アルザス公国(六五〇頃〜七四〇/カロリング朝 (七五一〜八四三)/文化
東フランク王国から神聖ローマ帝国へ東フランク王国ザクセン朝(九一九〜九六二)/神聖ローマ帝国の成立/修道院文化/ロマネスク芸術
神聖ローマ帝国シュタウフェン朝:都市の発展/アルザス公国の消滅とシュタウフェン朝の終焉/修道院文化から宮廷文化へ
中世後期のアルザス:ストラスブール、司教都市から自由都市へ/帝国都市と「十都市同盟」(デカポール) /都市文化の開花/中世アルザス社会
アルザス・ゴシック芸術:ストラスプール大聖堂/大聖堂のゴシック芸術/アルザスの教会と彫刻
アルザスの人文主義:活版印刷術ストラスブールのグーテンベルグ/セレスタ・ラテン語学校/人文主義の第一世代/一五世紀後半期の芸術/初期ルネサンス芸術とハンス・バルドゥング・グリーン
ストラスブールの宗教改革と農民戦争:転換期の一六世紀前半/宗教改革の中断と農民戦争/宗教改革の進展と既成化/宗教改革時代の文化
一七世紀、戦乱の世紀、フランスの「アルザス併合」三十年戦争のアルザス/古きよき時代との別れ/アルザス占領初期/ドイツとフランスの争奪の地アルザス
フランス王国下のアルザス:アルザス州/アンシャン・レジーム期の文化
フラン革命期のアルザス:革命と革命の進展(一七九五〜九九)/第一期共和制と恐怖政治(一七九二〜九四)
総裁政府の成立から第二帝政まで:総裁政府(一七九五〜九九)下のアルザス/統領政府(一七九五〜一八〇四)とナポレオン帝政(一八〇四〜一五)/復古王政から第二帝政 /第二帝政(一八五二〜七〇)/アルザス社会の変貌/革命期から第二帝政期までの文化
ドイツ帝国下のアルザス:普仏戦争への道/ドイツ帝国下のアルザス/アルザス文化の沈滞と復権/第一次世界大戦/大戦下のアルザス
フランスへの復帰:歓喜のあとの不安/政教協約の存続問題/自治主義運動/コルマール裁判/一九三〇年代/戦間期の文化(一九一九〜三九)
ナチ体制化のアルザス:試練の五年間((一九四〇〜四五)/ナチの占領支配/ナチ体制化の生活/レジスタンス/ド・ゴール臨時政府の成立とアルザス解放
戦後のアルザス:再建のアルザス/フランスのアルザス/戦後の文化
現代のアルザス:ド・ゴール体制とアルザス/ド・ゴール以後のアルザス/現代の文化

あとがき/アルザス年表/参考文献/人名索引


著者・内容紹介

市村卓彦 いちむら たくひこ
1944年名古屋生れ。南山大学大学院博士課程修了。
現在 龍谷大学教授。
訳書:クレマン『ジャックラカンの生涯と伝説』(共訳、青土社、1982)、ラカン『ディスクール』(「ラジオフォニ―」、弘文堂、1985)、タイテル『ラカンと文学批評』(共訳、せりか書房、1987)、ミルネール『フロイトと文学解釈』(ユニテ、1989)


アルザス地域史を通して、多文化主義や、国家をこえる試みの行方をうらなう

 現在はフランスの一地域となったアルザスは、スイス、ドイツ国境に位置し、ドーデの『最後の授業』で知られるように、幾度となくドイツ領となり、フランス領となり、両国の領土的野心の狭間で翻弄されてきた歴史を持つ。しかしまた、文化・宗教・政治のうえで、それぞれと深い関係を持ちつつ、独自の文化・精神風土を形成してきたことも事実である。この事実は、国民国家という枠組がゆらぎ、またそれをこえる試みが模索される昨今、多くの可能性を示唆するものである。現在、アルザスには、ソニー、シャープ、メニコンなど日本企業も多数進出しており、国際ビジネスの中心として、また中心都市ストラスブール市に欧州議会がおかれるなど、統合ヨーロッパのシンボルとして、注目されている。 本書は、国民国家フランスの一地域として、「ヨーロッパのアルザス」として、岐路に立たされるアルザス文化形成の歴史的経緯を明らかにし、その行方を見守るものである。ドイツ史でもフランス史でもないアルザスの通史は、日本ではもちろん他に類をみないものである。多文化主義や、国家をこえる試みの行方をうらなううえでも有意義なものとなるであろう。


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