書名:アルザス文化史 著者:市村卓彦 価格:4800円 |
目次 |
まえがき/アルザス概略 先史時代からローマ帝国支配まで:先史時代
/ローマ帝国の支配 あとがき/アルザス年表/参考文献/人名索引 |
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市村卓彦 いちむら たくひこ アルザス地域史を通して、多文化主義や、国家をこえる試みの行方をうらなう 現在はフランスの一地域となったアルザスは、スイス、ドイツ国境に位置し、ドーデの『最後の授業』で知られるように、幾度となくドイツ領となり、フランス領となり、両国の領土的野心の狭間で翻弄されてきた歴史を持つ。しかしまた、文化・宗教・政治のうえで、それぞれと深い関係を持ちつつ、独自の文化・精神風土を形成してきたことも事実である。この事実は、国民国家という枠組がゆらぎ、またそれをこえる試みが模索される昨今、多くの可能性を示唆するものである。現在、アルザスには、ソニー、シャープ、メニコンなど日本企業も多数進出しており、国際ビジネスの中心として、また中心都市ストラスブール市に欧州議会がおかれるなど、統合ヨーロッパのシンボルとして、注目されている。 本書は、国民国家フランスの一地域として、「ヨーロッパのアルザス」として、岐路に立たされるアルザス文化形成の歴史的経緯を明らかにし、その行方を見守るものである。ドイツ史でもフランス史でもないアルザスの通史は、日本ではもちろん他に類をみないものである。多文化主義や、国家をこえる試みの行方をうらなううえでも有意義なものとなるであろう。 |