書名:植民地経験のゆくえ アリス・グリーンのサロンと世紀転換期の大英帝国 著者:井野瀬久美惠 定価:5040円(本体価格4800円+税240円) |
目次 |
序 一枚の写真――メアリ・キングズリ/植民地経験のゆくえ――アリス・グリーン
第一章 帝国再考――植民地経験を問う意味 第二章 ロンドンのサロン文化 第三章 インスピレーションとしてのメアリ・キングズリ
第四章 メアリ・キングズリを追悼する――アフリカ協会の設立とその変質
第五章 女たちの南アフリカ戦争
第六章 アイルランド国民の「創造」――アイルランド史を書き換える
結びにかえて――コモンウェルスへの道 注/あとがき/参考文献/人名索引 |
著者・内容紹介 |
井野瀬 久美惠 いのせ くみえ
1958年愛知県生まれ。京都大学文学部英文科、西洋史学科(学士入学)卒業。京都大学大学院文学研究科(西洋史学専攻)博士課程単位取得退学。追手門学院大学文学部専任講師、甲南大学文学部助教授を経て、現在、甲南大学文学部教授。専攻:イギリス近現代史・大英帝国史。
主著:『大英帝国はミュージック・ホールから』(朝日新聞社、1990)、『子どもたちの大英帝国』(中公新書、1992、文庫版『フリーガント呼ばれた少年たち』1999)、『女たちの大英帝国』(講談社現代新書、1998)、『黒人王、白人王に謁見す』(山川出版社、2002)、『イギリス文化史入門』(編著、昭和堂、1993)、『植民地経験――人類学と歴史学からのアプローチ』(編著、人文書院、1999)、「ケンジントン・スクェア一四番地――アリス・グリーンとアフリカ協会」(『世紀転換期イギリスの人びと』人文書院、2000)、「表象の女性君主――ヴィクトリア女王を中心に」(『岩波講座 天皇と王権を考える 第7巻・ジェンダーと差別』岩波書店、2002)、「イギリスを創り直す――ブリテン、帝国、ヨーロッパ」(『歴史としてのヨーロッパ・アイデンティティ』山川出版社、2003)など。
魅力的な女性像ともうひとつの「帝国」像を樹立
女性で初めて未知の西アフリカを探検し、貴重な情報をイギリス社会にもたらしたメアリ・キングズリと、「アフリカ協会」の設立者であるアリス・グリーン。世紀転換期のイギリスに生きた二人の女性の活躍―イギリス本国、アフリカ、アイルランドにまたがる植民地経験を詳細に追い、大英帝国の植民地政策の中に位置づける。アリス・グリーンについての膨大な新史料に基づき、もう一つの「帝国」像を樹立