書名:
虚構のナチズム
       「第三帝国」と表現文化

著者: 池田浩士

定価:4095円 (価格3900円+税195円)
サイズ:A5判 406
ページ 刊行日2004年3月 
ISBN4-409-51053-3 (専門/思想・歴史)

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目次
序章 ナチズムの現在:あの時代は良かった……/過去とは過ぎ去ったこと……/実感の現実性をめぐって/現在という立脚点

第一部 ドイツの受難と英霊神話の創生
T 虚無に向かってさすらうものたち――レオ・シュラーゲターとメラー - ヴァン‐デン‐ブルグ:総統に捧げられた戯曲/レオ・シュラーゲターの衝撃/ナチズムはシュラーゲターから何を得たか/「第三の立場」とドストエーフスキー/現実性としての「第三帝国」
U 最初のナチ詩人がのこした遺産――ディートリヒ・エッカルトとアルフレート・ローゼンベルク:一九二三年十二月――第二の英霊神話が生まれる/ディートリヒ・エッカルトの生涯と作品/「イェルサレムとの戦い」――バイエルン革命をめぐって/反ユダヤ主義の根拠 その一――ローゼンベル ク/反ユダヤ主義の根拠 その二――エッカルト
V 死者たちも、ともに行進する――ホルスト・ヴェッセルとハンス・ハインツ・エーヴェルス:旗を高く掲げよ!/英雄を必要とする国――突撃隊の形成と発展/ホルスト・ヴェッセルの生と死/エーヴェルスによる神話形成/精神(こころ)において生きつづける「ドイツの夜の旗手たち」

第二部 文化政策の夢と悪夢
W ヨーゼフ・ゲッペルスの想像力――小説『ミヒャエル』を読む:労働の生と犠牲の死/虚構と現実のあいだで/日記が語るドイツ的運命――虚構から現実へ
X 国民社会主義文化の創出に向けて――文化官僚たちの「第三帝国」:科学の客観性か固有の世界観か/文化統制の理念と組織/文化と芸術の頽廃に抗して――H・S・ツィーグラーの戦い/文化官僚を支えたものたち

第三部 主体の表現、参加の文化
Y 二つの大戦の英雄として――ハンス・ツェーバーラインの体験と文学:ベンツベルクの人狼部隊/戦争体験からナチズムへ/『ドイツへの信念』の戦争像/内面化するナチズム――「良心の命令」/信念と良心は何を命じたのか
Z 日常茶飯事の政治性――ナチズム文化の「新しさ」とは何か:「戦士の革命」が日常の現実となる――クルト・エッガースの生と死/新しいメディアの戦士たち――映画の一断面:テレビ時代の幕開け――アルノルト・ブロンネンの変転
[ 自発性の文化表現としてのナチズム――「ティングシュピール」の興隆と終焉:最初の「ティングプラッツ」と「ノイローデ」/「ティングシュピール」とは何か? /近過去との対決から現在の神話化へ――ティングシュピールの主題と人物/規制から消失まで――第二革命の挫折

註/あとがき/文献・資料リスト/人名索引

著者・内容紹介

池田 浩士 いけだ ひろし
1940年6月大津市生まれ。慶応大学大学院博士課程修了。1968年4月から2004年3月まで京都大学教授。 2004年4月から京都精華大学勤務。
主著:『ルカーチとこの時代』(平凡社、1975年)、『ファシズムと文学』(白水社、1978年)、『教養小説の崩壊』(現代書館、11979年)、『抵抗者たち』(TBSブリタニカ、1980年/新版=軌跡社、1990年)、『大衆小説の世界と反世界』(現代書館、1983年)、『文化の顔をした天皇制』(社会評論社、1986年/増補版=2004年)、『死刑の〔昭和〕史』(インパクト出版会、1992年)、『〔海外進出文学〕論・序説』(インパクト出版会、1997年)、『火野葦平論――〔海外進出文学〕論・第1部』(インパクト出版会、2000年)、『歴史の中の文学・芸術』(河合文化教育研究所、2003年)、『池田浩士コレクション』インパクト出版会、刊行中) 
主編訳書:『ルカーチ初期著作集』全4巻(三一書房、1975-76年)、『ドイツ・ナチズム文学集』(柏書房、刊行中)
主訳書:エルンスト・フィッシャー『回想と反省』(人文書院、1972年、品切)、エルンスト・ブロッホ『この時代の遺産』(三一書房、1982年/「ちくま学芸文庫」版、1994年)


あの熱狂はなぜ生まれたのか。第三帝国の根源に光を当てる

文学、演劇、映画、放送など表現に関わる多様な分野で、ナチスはドイツ民衆の意思と感情を動員することに成功した、この秘密はどこにあったのか。著者は、ワイマール時代からナチス時代にかけての あらゆるジャンルの表現文化を綿密に分析し、あの時代の現場の感性を追体験しながら、ナチス=悪、その文学も劣るといった図式では解けないその熱狂を生み出す秘密について論及する。表現の力とは何か、 そして虚構と現実の現場に踏み込みながら、ファシズム・ナチズムに対抗する全体としての思想を追求した、著者畢生の書き下ろし。


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