書名:原万葉 葬られた古代史 著者: 安引 宏 価格:2300円 |
目次 |
はじめに――叙事詩劇、千三百年の長い眠り 第一部 聖書「原万葉』誕生の前夜 第二部 聖歌劇「日本賛歌」の復原 第三部 聖史詩劇「原万葉」の埋葬、あるいは歴史の復讐 あとがきに代えて――精神の巨大古墳の発掘を、さらに |
著者・内容紹介 |
安引 宏 あびき ひろし
1933年生れ。東大英文化卒。「世界文学大系」「世界ノンフィクション全集」「展望」復刊編集、「すばる」創刊編集長をへて、再開第一回中公新人賞を受賞。文筆活動に入る。
小説:『死の舞踏』『インドの誘惑』『背教者』など。紀行:『カルカッタ大全』(人文書院、現在品切)、『新アルハンブラ物語』など。
訳書:V・S・ナイポール『インド・闇の領域』(人文書院)、アラン・ド・ボトン『哲学のなぐさめ』など。
七世紀末から十世紀にかけて七次にわたる編集を経た万葉集。その初発を原万葉という。万葉集の成立にあたって当時の為政者はそこに何を企んだか。それは単に素朴な古代詞華集ではなく、「日本」や「日本人」、さらに「天皇」なるものがいかにして成り立ったか、いわば日本国家成立に関わる明瞭なメッセージが窺えるのである。タブーの核心にかかわることを避け、歴史書として《精神の一大古墳》たるべき万葉集の上に意識的な沈黙、それ故の誤解、そして誤解につけこんだ意図的曲解をうずたかく降り積もらせてきた万葉学の怠惰の歴史に鋭い批判の矢を放ち、聖詩史劇としての万葉原初の構成を詳細に分析するとともに、そこにこめられた国家イデオロギー確立の経緯を初めて解きひらいた意欲的な取組み。同様主題を小説で展開した『背教者』(河出書房新社)がある。