書名:隠れユダヤ教徒と隠れキリシタン 著者:小岸 昭 価格:2900円 |
目次 |
プロローグ 二つの「隠れ」信徒物語 もう一つの「隠れ」/ デリダの中のマラーノ的精神 /方法論 第一草 加害の視点と向かい合う男 第二章 フランシスコ・ザビエルと異端審問 第三章 マカオの海 第四章 棄教者沢野忠庵の「マラーノ性」 五章 辣を生きる人々 六章 アルメー様は何処に居る エピローグ 「非・場」からのロゴス中心主義批判 あとがきに代えて――新たな想像力に向けて 注 人名索引 |
著者・内容紹介 |
小岸 昭 こぎし あきら
1937年北海道生。1963年京都大学独文科修士課程修了。2001年京都大学総合人間学部定年退職。現在北海道江別市在住。
ドイツ文学専攻。ユダヤ思想研究を軸として、スペイン、ポルトガル、インド、イスラエル、ブラジルなどを旅し、ディアスポラ・ユダヤ人の足跡を追求している。1995年「日本・ユダヤ文化研究会」創設。
著書:『スペインを追われたユダヤ人』(人文書院、筑摩学芸文庫)、『マラーノの系譜』(みすず書房)、『十字架とダビデの星』、『離散するユダヤ人』(岩波書店)、『世俗宗教としてのナチズム』(筑摩文庫)、『ファシズムの想像力』(人文書院)
訳書:ヨベル『スピノザ異端の系譜』(共訳、人文書院)、デッシャー『水晶の夜』(人文書院)他。
アルメイダ=マラーノを軸に「隠れの思想」を追究した力作。
カトリックの普遍主義によって迫害され改宗を迫られたスペイン・ポルトガルのユダヤ人=マラーノの運命と、日本でキリスト教の布教や医療に活躍したイエズス会の改宗ユダヤ人アルメイダ、棄教者フェレイラ(沢野忠庵)、さらに拷問による棄教を拒否した隠れキリシタンの運命とを重ねて考察し、両者に通じる内在の思想、隠れの思想に近代の可能性を読みとる。リスボン、ゴア、マカオ、長崎、生月島、五島、天草などキリシタンゆかりの土地に実際に足を運んで生まれた想念と、現実の歴史の出来事が妖しく交錯する。隠れキリシタンを全く新しい角度から捉え、近代史を読み替えた本書に、読者は強い衝撃を受けるだろう。前著『スペインを追われたユダヤ人』の日本篇。