書名:
オセアニアの現
       
持続と変容の民族誌

著者: 河合利光編著

価格:2400円
サイズ:四六判上製 278
ページ 刊行日2002年3月 
ISBN4-409-53026-7 (専門/人類学)

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目次

目的と概要 河合利光(園田学園女子大学国際文化学部)
首長国としてのラウ
―フィジー東部諸島における首長制の伝統と変化 小川正恭(武蔵大学社会学部)マタイ称号と政治サモア・ウポル島における首長制の変容 小池 誠(桃山学院大学文学部)誰がアリキを継ぐべきかクック諸島における首長位継承をめぐる紛争 中山和芳(東京外国語大学外国語学部)土地と首長制ヴィティレヴ島北部ラ地方の首長制 石井眞夫(三重大学人文学部)国家を支える力フィジー中部諸島のリーダーシップ 河合利光首長制の儀礼的再生産―「エイキ」概念よりみたトンガ社会の持続と変容 大谷裕文(西南学院大学文学部国際文化学科)正体不明の霊ヴァヌアツ・トンゴア社会の民間治療者における持続と変容 白川千尋(新潟大学人文学部)少数民族語の維持と復興オーストラリア・アボリジニのバイリンガル教育をめぐって 濱嶋 聡(園田学園女子大学国際文化学部)植民地主義とジェンダーの揺らぎニュージーランド・マオリ女性の自画像 内藤暁子(武蔵大学社会学部


編者・内容紹介

河合利光 かわい としみつ
1948年生れ。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程修了。園田学園女子大学国際文化学部教授。博士(社会人類学)。
著書:『身体と形象――ミクロネシア伝承世界の民族誌的研究』(風響社)、『生活文化論――文化人類学の視点から』(編著、建帛社)、『比較食文化論――文化人類学の視点から』(編著、建帛社)他。


近年の社会文化人類学では、文化の一貫した統合性よりは多様性と共生を、文化の伝承性よりは新文化の創造性を、調和と均衡よりは変容と混淆性を、孤立性よりは開放性と移動性を、記述における研究者の権威よりはインフォーマントの多声的な語りを強調するようになってきた。…………
 本書の目的は、先に述べたように、西洋化・グローバル化・資本主義化が著しく進展した南オセアニア地域の現在的状況を、伝統の持続と変容という視点から、民族誌的に記述することにある。伝統的コミュニティの「変容」に伴い、特定コミュニティの集約的研究に基づくフィールドワークは、今後、いかほどの有効性を持ちうるのだろうか。伝統的習慣(それ自体が変化の産物であるが)の衰退と変容に伴い、文化を捨象し、過去の文献記録の歴史的研究とか、都市や国家レベルの政治経済学的研究に、とって代わられるべきなのだろうか。本書は、そのような難問に直接答えようとするものではないが、民族誌的研究の可能性については大きな関心を抱いている。
                       (本書序文より)


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