書名:人種概念の普遍性を問う 西洋的パラダイムを超えて 編者:竹沢泰子 定価:3990円
(本体価格3800円+税190円) |
目次 |
T 総論 人種概念の包括的理解に向けて 竹沢泰子 人種概念を洗い直す/人種概念の起源をめぐる大論争とその陥穽/人種概念の三つの位相/「モンゴロイド」「コーカサイド」「ネグロイド」/DNAからみる「アジア人」「ヨーロッパ人」「アフリカ人」/分類という常套手段と暴力 U 「白色人種」「黒色人種」「黄色人種」 一九世紀ヨーロッパにおける人種と不平等――身体と歴史 ロバート・ムーア(五十嵐泰正訳)/北米における人種イデオロギー オードリー・スメドリー(山下淑美訳)/中国史上の人種概念をめぐって 坂元ひろ子/*近代人種主義の二つの系譜とその交錯――地域連鎖の世界史から人種を考える 田辺明生 V 近代日本における人種と人種主義 人種・民族・日本人――戦前日本の人類学と人種概念 坂野 徹/「南島人」とは誰のことか 冨山一郎/人種主義と部落差別 黒川みどり/*近代天皇制と賤・穢 高木博志 W 植民地主義とその残影 インドにおけるカースト・人種・植民地主義――社会通念と西洋科学の相互作用 サブハードラ・チャンナ(工藤正子/門田健一訳)/人種主義的アフリカ観の残影――「セム」「ハム」と「ニグロ」 栗本英世/人種的共同性の再構築のために――黒人性再想像運動の経験から 松田素二/*調停される「帝国の視点」――双方向性のなかで人種概念を見直す 井野瀬久美惠 X ヒトの多様性と同一性――自然人類学からみる「人種」 「人種」は生物学的に有効な概念ではない C・ローリング・ブレイス/瀬口典子(瀬口典子訳)/人種よさらば 斎藤成也/日本人の生物人類学者にとって、「人種」とは何なのか? 片山一道/*生物学的概念としての人種 多賀谷 昭 |
編者・内容紹介 |
竹沢泰子 たけざわ やすこ
ワシントン大学大学院人類学科博士課程修了。Ph.D. 京都大学人文科学研究所教授。文化人類学。
主著:『日系アメリカ人の人類学』(東京大学出版会、1994、渋沢賞)、Breaking the Silence (Cornell
University Press, 1995)、New Worlds, New Lives (Stanford University Press,
2002)、『文化人類学のフロンティア』(ミネルヴァ書房、2003)など。
文化と自然のふたつの人類学が相並んだ画期的な成果!
新たな共通語としての人種概念をめぐり、その歴史的検証と包括的理解に向けて人文科学と自然科学の研究者がはじめて協働した画期的成果。圧倒的な欧米ヘゲモニーがもたらす狭隘な人種理解に対し日本、アジア、アフリカから、地域を超えた強烈なオルタナティヴを呈示する。
「京都大学人文科学研究所国際シンポジウム・国際人類学民族学会議(IUAES)2002 京都会議」の成果を一冊にまとめる。