書名:誇り高く優雅な国、日本
           垣間見た明治日本の精神

著者:エンリケ・ゴメス・カリージョ
訳者:児嶋桂子

価格:1800円
サイズ四六判並製  218
ページ 刊行日2001年11月 
ISBN4-409-54061-0

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目次
序――紹介にかえて(小林一宏)

東京お辞儀と微笑み/憧れと現実/東京の道とホテル  吉原:生ける花々の園/娼婦の精神的貞潔さ/春画と吉原暦/伝承の遊女/廓の画家たち  雄雄しき魂:美しく死ぬ/ホメロス風の世界/勇敢な振る舞い  太刀:神聖にして高貴なもの/古刀の価値/武士の魂  社寺:日光、この華麗なる聖域/二つの霊廟  サムライ:神格化された武士/日本人であることの誇り  洗練された精神:礼に始まり礼に終わる/礼儀作法の厳格さ/美徳としての克己  ハラキリ:武士道の原理/自殺の許し/より英雄的に崇高に/切腹の作法/ハラキリ英雄譚  詩歌:古今和歌集の序/枕詞と掛詞/日本の詩歌は翻訳不可能/日本の詩歌は日本語で/日本詩歌の分類/誰もが歌を詠む国  女性:女性蔑視/「家」本位の結婚/謙虚さと服従/新時代の女性  山水:自然を愛する/大地を崇める/庭と盆栽貧困:東京の貧民窟/下層労働者の困窮/鴨長明と滝沢馬琴/貧しさと惨めさ  名誉の規範:武士道とは/四つの大恩/力と忠誠と礼節/日本的自覚  笑い:笑う神々/芝居と祭

訳者あとがき


著者・内容紹介

エンリケ・ゴメス・カリージョ
1873年グァテマラ市生れ。生涯の大半をパリですごす。1927年パリで没。没後、ヴィクトル・ユゴーやショパンの墓があるパリの名高い墓地に埋葬される。著者は当時のヨーロッパにおける著名なクロニスタ(報道文学者)。1905年にスペインの新聞エル・リベラル紙とアルゼンチンのラ・ナシオン紙に連載した帝政ロシアからの通信文、とくにツァーの体制化で行われた大量殺戮を報告した文章は、世界を震撼させ、これがボルシェビキの革命を鼓舞し、社会主義を勝利に導いたといわれるほど大きな影響力をもった。
1905年7月、マルセーユ港からフランス船シドニー号に乗って出帆、エジプト、インドを経由し日本に向かう。

児嶋桂子 こじま けいこ
1944年東京生れ。1967年上智大学外国語学部スペイン語科卒。1967年から70年まで在グァテマラ日本国大使館勤務。グァテマラに在住して、マヤなどラテン・アメリカの歴史・考古・民族・民族関係の文章の翻訳に従事している。訳書に『ケツァル島の館』(文藝春秋、2001年)がある。

 


日清・日露戦争の勝利に沸き立っていた20世紀初頭の日本を旅するスペイン語文化圏のジャーナリスト・文人の明治日本見聞録。「東京」「吉原」「雄々しき魂」「太刀」「社寺」「サムライ」「洗練された精神」「ハラキリ」「詩歌」「女性」「山水」「貧困」「名誉の規範」「笑い」という14のテーマに沿って綴られている。街路で深々とお辞儀をして微笑を浮かべながら挨拶をする優美な姿、貧しいなかでも詩歌を愛することを忘れない人たち、それでいて、恥辱をうければ潔く自刃して果てる誇り高いサムライの伝統に畏怖と羨望の言葉を漏らす。当時の先進国であるヨーロッパの傑出した知識人が、深い感動をもって武士道精神など東洋の豊かな精神文化をうけとめている様子が如実に描かれているが、現代の読者は、貧困のうちにも自らを律し、誇り高く、礼節を重んじていたかつてのわれわれ日本人の姿から多くのことを学ぶのではないだろうか。本邦初訳!


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