書名:いけばなの起源 立花と七支刀 著者:中山真知子 価格:2000円 |
目次 |
序 (山折哲夫) 序章 第一章 いけばな・りっか・たてはな:形式派と自然派/立花の形・「七支」/立華の成立 第二章 七支刀の謎:七支刀の銘文/七支刀の吉祥句の思想的背景/七支刀の形と道教との関連/石上神社と道教/石上神社と「七」の信仰/威斗と七支刀/七星剣/七支刀と北斗信仰/古代豪族と鉄の神/柄杓の神と水の祭祀/わに神=磁力を帯びた鉄刀の神・サヒモチ神/鉾立場と花立場 第三章 立花と七支刀:立花とは何か/立花の典型/仏神の七枝の型/仏教系の七枝の型/扇の中に秘められた七枝の図/御夢想形/七賢花/七夕の立花/正月七日の立花/立花と七支刀 第四章 日本文化と「七」:風俗のなかの「七」(七草・七夕)/民俗のなかの「七」(観心寺の七星塚・山王七社の七座・高山寺の七堂)/宗教のなかの「七」(庚申・大黒・天満宮・稲荷・ヒメ金神・妙見・陰陽道)/茶のなかにみる「七」/花のなかにみる「七」/能のなかにみる「七」/建築のなかにみる「七」と北極図 終章 日本文化における「北」の意味 あとがき/巻末付表(年表/写真・図版リスト)/参考文献 |
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中山真知子 なかやま まちこ 平安時代の貴族社会では、四季を花であらわし、花を詠うことを基本的な教養として、春には梅や桜の一木を挿し立て、秋には枝の紅葉を楽しんだ。鎌倉時代から室町時代へと、花の美しさを鑑賞することから伝統いけばなの原点といわれる「立花(たてはな)」への変遷、さらに利休の茶花を経て「立華(りっか)」へと発展していく。こうした「いけばな」の起源と、大和における最高の社、石上神宮の国宝「七支刀」とを結びつける、驚くべき着想。七枝の立花伝承の謎にとらわれた著者は、この仮説を掌中にまっしぐらに史料と資料の山に分け入っていく。なぜ「七」なのか? 七支刀の吉祥銘文の思想史的背景を探り、道教や仏教との関連、陰陽道、大黒、天神、稲荷、庚申、妙見、北斗信仰その他、七草、七夕など風俗や民俗のなかの「七」の意味、および日本文化における「北」の重要性等々、さまざまな宗教・民俗学説を引例しつつ、自己の着想と比較検証してゆく。流派を超えたいけばなの本質を知りたいという欲求、素直な好奇心、新鮮なまなざしが見事に結実した、華道に親しむ人に是非一読をすすめたい労作。 |