書名:
いけばなの起源
      
立花と七支刀

著者:中山真知子

価格:2000円
サイズ:
四六判上製 208ページ 刊行日2002年1月 
ISBN4-409-54062−9 (専門・教養/日本文化・民俗)

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目次
序 (山折哲夫)

序章

第一章 いけばな・りっか・たてはな:形式派と自然派/立花の形・「七支」/立華の成立

第二章 七支刀の謎:七支刀の銘文/七支刀の吉祥句の思想的背景/七支刀の形と道教との関連/石上神社と道教/石上神社と「七」の信仰/威斗と七支刀/七星剣/七支刀と北斗信仰/古代豪族と鉄の神/柄杓の神と水の祭祀/わに神=磁力を帯びた鉄刀の神・サヒモチ神/鉾立場と花立場

第三章 立花と七支刀:立花とは何か/立花の典型/仏神の七枝の型/仏教系の七枝の型/扇の中に秘められた七枝の図/御夢想形/七賢花/七夕の立花/正月七日の立花/立花と七支刀

第四章 日本文化と「七」:風俗のなかの「七」(七草・七夕)/民俗のなかの「七」(観心寺の七星塚・山王七社の七座・高山寺の七堂)/宗教のなかの「七」(庚申・大黒・天満宮・稲荷・ヒメ金神・妙見・陰陽道)/茶のなかにみる「七」/花のなかにみる「七」/能のなかにみる「七」/建築のなかにみる「七」と北極図

終章 日本文化における「北」の意味

あとがき/巻末付表(年表/写真・図版リスト)/参考文献


著者・内容紹介

中山真知子 なかやま まちこ
兵庫県に生れる。帝塚山学院高等部卒業論文「なぜ、平安時代に女流文学が栄えたか」成城大学文芸学部西洋美術史卒業論文「モンドリアン」。1988年以来、アジア各地で、公開講座、講演、個展活動を続け、現地の植物や花器を使い、花を通して日本の伝統文化を紹介している。現在、アジアセンター客員研究員。
著書:“Origins of Ikebana Philosophy” (The Asian Centre, 1999)


 平安時代の貴族社会では、四季を花であらわし、花を詠うことを基本的な教養として、春には梅や桜の一木を挿し立て、秋には枝の紅葉を楽しんだ。鎌倉時代から室町時代へと、花の美しさを鑑賞することから伝統いけばなの原点といわれる「立花(たてはな)」への変遷、さらに利休の茶花を経て「立華(りっか)」へと発展していく。こうした「いけばな」の起源と、大和における最高の社、石上神宮の国宝「七支刀」とを結びつける、驚くべき着想。七枝の立花伝承の謎にとらわれた著者は、この仮説を掌中にまっしぐらに史料と資料の山に分け入っていく。なぜ「七」なのか? 七支刀の吉祥銘文の思想史的背景を探り、道教や仏教との関連、陰陽道、大黒、天神、稲荷、庚申、妙見、北斗信仰その他、七草、七夕など風俗や民俗のなかの「七」の意味、および日本文化における「北」の重要性等々、さまざまな宗教・民俗学説を引例しつつ、自己の着想と比較検証してゆく。流派を超えたいけばなの本質を知りたいという欲求、素直な好奇心、新鮮なまなざしが見事に結実した、華道に親しむ人に是非一読をすすめたい労作。
  著者はマレーシアのペナン島在。アジアセンター客員研究員。現在、アジア各地で現地の植物を使い、日本の伝統形式にのっとったいけばなを紹介するかたわら、アジア文化圏との共通性から日本文化を捉え直す比較研究をつづけている。


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