書名:ポストフォーディズムの資本主義―社会科学と「ヒューマン・ネイチャー」
著者:パオロ・ヴィルノ 定価:2520円
(本体価格2400円+税120円) |
目次 |
序 1 ポストモダンの思想と認知科学 2 マルクス主義と実存主義における「人間的自然」概念の失墜 3 チョムスキー:生得の権利
セミナー一日目
第一章 「人間的自然」をめぐるチョムスキーとフーコーの討論
1 科学的概念あるいは認識論的指標 2 生物学と政治 3 二重の不満 4 フーコー批判 5 チョムスキー批判 6 与論:アイントホーフェンの討論と「ノー・グローバル」運動 7 言語能力:開かれた問題
セミナー二日目
第二章 本能の貧困な動物
1 「謙譲の伝統」:不充分な存在としての人間 2 環境と世界 3 専門化した本能 VS 能力 4 ネオテニーあるいは恒常的幼年期 5 免除 6 (擬似)環境ニッチの構築 7 亡命、移民 8
世界の経験 9 労働と「世界」/環境 10 生産における人間的自然
セミナー三日目
第三章 現代の資本主義:差異と反復
1 生物学的未分化と労働のフレキシビリティ 2 ネオテニーと生涯教育 3 モビリティと環境の欠如 4 潜在力と労働=力 5 再び「人間的自然」が語られはじめたこと 6
大都市の生について 7 余論:言語活動と個々の言語 8 <話すこと>とポストフォーディズムの労働組織
セミナー四日目
第四章 宗教と生物学的不変項
1 反坐刑あるいは暗黙のモデル 2 メタ歴史を歴史化すること:エルンスト・デ・マルティーノの計画 3 宗教と前資本主義社会 4 メタ歴史を実用的に現実化させる民主主義 5 余論:歴史の終焉もしくはハイパー歴史 6
新しい動物性とスノビズム
セミナー五日目
第五章 結論:社会科学の自然化のために
1 自然化礼賛 2 個的精神未完性:「超個体性」の概念 3 ナチュラル・ヒストリー 4 政治の比重
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鏡ニューロン、言語的否定、相互認知
いわゆる「悪」と国家批判
1 世界に開かれた動物 1・1 衝動の過剰と可能性の様態 1・2 アンビバレンス 1・3 砂漠のざわめき
2 自然状態と国家状態 2・1 ホッブズのパラドックス 2・2 規則と規則性 2・3 自然状態からの脱出は不可能である
3 歴史的=自然的制度 3・1 言語 3・2 儀式 3・3 カテーコン
訳者あとがき/参考文献/ 人名索引
著者・訳者・内容紹介 |
Paolo Virno パオロ・ヴィルノ
1952年、ナポリ生まれ。ネグリらのもとで70年代に参加した反体制的革命運動により、1979年から三年間投獄される。シナリオライター、ジャーナリスト(日刊紙「il
manifesto」)、出版社の編集者などを経て、現在はカラブリア大学文学部哲学科助教授。
邦訳に『マルチチュードの文法:現代的な生活形式を分析するために』(広瀬純訳、月曜社)がある。
柱本 元彦 はしらもと もとひこ
1961年生まれ。京都大学大学院博士後期過程修了。ナポリ東洋大学講師などを経て、現在は大学非常勤講師、翻訳家。訳書にフェッリーニ『魂のジュリエッタ』(青土社)、ランドルフィ『カフカの父親』(共訳、国書刊行会)、カッチャーリ『必要なる天使』(人文書院)、エーコ『カントとカモノハシ』(岩波書店)、レオパルディ『カンティ』(共訳、名古屋大学出版会)など。
現代の労働において人間はフレキシブルな奴隷に過ぎないのか?
人間的能力のすべてを労働へ動員し、その生物としての存在を剥き出しにするポストフォーディズム。フーコーとチョムスキーの討論を手がかりに、根底から変化する社会と人間の関係から現代資本主義の本質を分析する、『マルチチュードの文法』に続く講義形式の入門書。本書刊行後に書かれた論文2本を付す。