書名:スピリチュアリティといのちの未来 監修:島薗 進・永見 勇 定価:3990円
(本体価格3800円+税190円) |
目次 |
はじめに 島薗進
プロローグ 二一世紀の人類社会の危機に向き合う :危機の時代における科学と宗教――生命の価値と文化の差異 島薗進/目の見えない人は見え、足の不自由な人は歩く ジャック・マイルズ
1 先端生命科学と人体改造
(1)いのちの選別:いのちの選別――フェミニスト宗教学の視点から 岡野治子/いのちの選別のゆくえ――テクノロジカル・インペラティブがもたらしたもの 白井泰子
(2)エンハンスメントの是非:エンハンスメント(増強的介入)と<人間の弱さ>の価値 松田 純/生物医学的人体増強テクノロジー――ヒューマニズムとポスト・ヒューマニズムを超えて ジェラルド・マッケニー/ユートピアの誘惑を拒絶する――研究、その論理的説明、そして、ハンス・ヨナス
(3)先端生命科学とスピリチュアリティ:幹細胞、そしてエンボディメント(身体化)の意味 ウィリアム・ハールバット/世界があり、そして世界の地図がある――基礎研究の倫理学 ローリー・ゾロス/科学と社会的価値 ルードヴィヒ・ジープ
2 自然と人間の新たな関係
(1)自然改造の限界:宗教とエコロジー――高まりつつある協調 マリー・タッカー/自然を操作・改造する エリザベス・ブラボー
(2)いのちの有限性と生命科学:一つの山に通じる多くの道――形質転換の科学への統合的アプローチ カサンドラ・ヴィーテン ティナ・アモロック マリリン・シュリック/いのちの有限性と生命科学 徳永史生
(3)宗教の危機と新たなパラダイムの可能性:修行・倫理・科学――多様な文化で共有可能な価値観の創出 ドン・ジョンソン/宗教の危機をめぐって――オウム真理教事件と九・一一事件の以降の宗教意識 渡辺 学/枠組みの拡大――技術から宗教を、科学から神学を取り戻す ラスタム・ロイ
エピローグ 公共的合意を求めて:公共的合意を求めて――命に対する科学と宗教の対応を巡って 永見勇/おわりに 永見勇
監修者・執筆者略歴
監修者・内容紹介 |
島薗 進 しまぞの すすむ
1948年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位習得退学。東京大学文学部(大学院人文科学研究科)宗教学・宗教史学科教授。宗教学。
著書:『現代救済宗教学論』(青弓社)、『精神世界のゆくえ』(東京堂出版)、『時代の中の新宗教』(弘文堂)、『ポストモダンの新宗教』(東京堂出版)、『〈癒す知〉の系譜』(吉川弘文館)ほか。
永見 勇 ながみ いさむ
1941年生まれ。米国シカゴ大学大学院博士課程修了、Ph.D。名古屋柳城短期大学学長。宗教哲学、宗教社会学、社会理論。
著書『了解と価値の社会学』(出光出版)、『象徴としての宗教』(創文社)、『生きがいと喪失のケアの哲学:死の意味づけを巡って』(ハーベスト社)ほか。
先端生命科学の非人間化、生命倫理の問い直し、新たなスピリチュアリティの興隆、‥‥現代世界がかかえる科学と宗教の問題、自然と人間の新しい関係の模索!
20世紀の最後の四半世紀以来、「宗教」でもなく「科学的合理主義」でもなく、その対立や棲み分けを超える地点に新たなスピリチュアリティ(霊性)の可能性が目覚めている。それは人間が地球の生命を支配するのではなく、自らがおおきな「いのち」の営みの中にあるという自覚にほかならない。いのちの選別、その有限性、人体改造の是非、自然改造の限界、etc.危機の時代の科学と宗教をめぐって、哲学、倫理、宗教、医学、生物学、心理学ほか諸学を横断するさまざまな提言を集約した意欲の論集。