書名:フッサール現象学における多様体論

者: 信木晴雄

定価:2940円 (本体価格2800円+税140円)
サイズ:A5判上製 
214ページ 刊行日2007年6月 
ISBN978-4-409-04087-4 (思想・哲学/フッサール)

目次

序論:第一節 現象学における「多様体論」/第二節 初期フッサールの数学的な思想背景――a.数学の哲学  b.ボルツァーノヘの関心  c.ヒルベルトの公理主義/第三節 リーマンの多様体論/第四節 多様体論と形式存在論/第五節 フ ッサールにおける多様体の位置づけ――a.『論理学研究』 における多様体の意味  b.『内的時間意識の現象学』 における多様体の意味  c.『現象学の理念』 における多様体の意味  d. 『イデーン』における多様体の意味  e.『形式論理学と超越論的論理学』おける多様体の意味  f.『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』における多様体の意味/第六節 多様体論に関する従来の研究――a.ソコロウスキーによる多様体の超越論的解釈  b.ローマーによる多様体論の形式的解釈  c.ピ ッカーによる多様体における形式主義の意義/第七節 普遍を表現する多様体の意義 

第一章 論理の基づけ構造:第一節 多様体の一般的規定/第二節 基づけと多様体――a.形式的法則  b.内容の規定法則  c.事例の直観  d.理性の真理/第三節 基づけの統一/第四節 基づけと範疇的直観/第五節 代表象――a.フッサールの代表象論  b. 同一化の統一   c.トゥーゲントハットのフ ッサール批判/第六節 確定的多様体論とア・プリオリな存在論の関係

第二章 多様体としての意識流:第一節 時間客観の基づけ/第二節 法則としての非独立性/第三節 過去把持の連続体/第四節 意識の流れの統一/第五節 現在と過去の統一/第六節 内的時間意識の統一――a.瞬間の共在  b.アイグラーのフ ッサール批判/第七節 事物と意識の統一

第三章 現象学的認識批判としての多様体論:第一節 真理――a.明証性  b.ローゼンのフッサール批判/第二節 ノエシス理論と多様体論/第三節 ノエシスの現象学――a.学問の基礎づけ  b.意識流の明証性  c.現象学的知覚/第四節 学問論としての多様体論

第四章 超越的観念論と確定的多様体論:第一節 質料的なア・プリオとしての超越論的観念/第二節 領域的存在論――a.図式  b.ラントゲレーベの批判  c.インガルデンの批判/第三節 自然の領域/第四節 ノエシス‐ノエマによる超越論的観念論/第五節 『イデーン』における確定的多様体論

第五章 論理学の超越論的基礎づけ:第一節 形式存在論と命題論/第二節 帰結論理学と普遍学/第三節 内在的な真理の問い/第四節 日本の研究者による多様体論――a.伊藤春樹の多様体の解釈  b.常俊宗三郎の多様体解釈  c.形式存在論と多様体論の導入の意義/第五節 超越論的論理学

第六章 後期フッサール現象学における多様体論の展望:第一節 生活世界と多様体/第二節 生活世界と論理学/第三節 生活世界への批判と展望――a.クレスゲスのフッサール批判と展望  b.ホールのフッサール批判  c.生活世界論の展望

結論

注/文献表/あとがき


著者・内容紹介

信木晴雄  のぶき はるお
1958年東京都生まれ。京都大学文学部哲学科卒業。同志社大学大学院博士後期課程満期退学。同志社大学嘱託講師、京都府立医科大学非常勤講師を経て、現在、旭川大学准教授。哲学博士(同志社大学)、日本フィヒテ協会会員。
『フッサール多様体論の解明』(丸善プラネット、1997)、『無事の哲学」(人文書院、2000)、『現象学入門」(丸善プラネット、2001)、『眼の光』(人文書院、2001)、『自然哲学におけるn‐次元多様体』(国際出版研究所、2003)、『痕跡』(国際出版研究所、2004)などの著書がある。


フッサール現象学における「多様体論」が果たす哲学史的な重要性に初めて言及!

数学者として出発したフッサールが、19世紀の「数学的多様体論」の可能性への洞察から、「多様体論」がフッサール現象学の初期から非常に重要な核心を形づくり、解釈の主導的な枠組みを提供していたかを初めて解明した意欲の論。



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