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書名:二〇世紀アヴァンギャルドと文明の転換 ――コロンブス、プリミティヴ・アート、そしてアラカワへ 著者:大平具彦 |
目次 |
序 コロンブス、プリミティヴ・アート、そしてアラカワへ
第 I 部 二〇世紀アヴァンギャルドとプリミティヴ・アート
第一章 ピカソと《アヴィニヨンの娘たち》
第二章 アポリネールと「太陽 首 切られて」/ツァラと「黒人詩に関するノート」
第三章 ストラヴィンスキーと『春の祭典』――ロシアの場合
第四章 シュルレアリスムのヨーロッパ批判――表象の人類学的変容
第 II 部 アヴァンギャルドの思考から世界の生成へ
第五章 エメ・セゼール――世界というトポスの身体化
第六章 オクタビオ・パス――世界を受肉する詩学
第七章 荒川修作――世界のつくり直しとしての「建築する身体」
終章 世界、そして見えない都市へ
注
あとがき
人名索引
著者紹介 |
大平 具彦(おおひら・ともひこ)/1945年生。東京都立大学大学院博士課程中退。北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院教授。表象文化論、国際地域文化論。著書に『トリスタン・ツァラ――言葉の四次元への越境者』(現代企画室)、『モダニズムの越境』(全3巻、共編著、人文書院)、訳書に、M・サヌイエ『パリのダダ』(共訳、白水社)、T・ツァラ『トリスタン・ツァラの仕事II 詩編』(共訳、思潮社)、J・ブーヴレス『哲学の自食症候群』(法政大学出版局)、H・ベアール、M・カラスー『シュルレアリスム証言集』(共訳、思潮社)など。
内容紹介 |
脱近代を志向、新たな文明の可能性
自らの文明を打ち砕き否定しようとしたアヴァンギャルドといえども、ヨーロッパ文明の構図から抜け出して在ることは叶わなかった。前衛運動が初発から内包していた大いなる矛盾を枠組の根本から徹底的に検証し、ヨーロッパ文明=普遍という神話を問い直す力作。
アヴァンギャルドにおいては文学芸術上の創造の原理と自らの生成の原理とは分かちがたく結びつき、その詩学は「文明」と「未開」との交配を土壌としていたゆえに、それが文明と呼ばれてきたもの自体の組み直しと向き合うことになるのは、必然といえば必然であったのだ。こうして私の内部では、アヴァンギャルド論は同時に文明論となった。〔それは、〕ヨーロッパの眼とは別な視座から西洋と非西洋を見ることが出来る日本という文化トポスに身をおいていたからこそではなかった
かと今にして思っている。(本書「あとがき」より)