書名:宇宙をかきみだす――思春期文学を読みとく

著者:R・S・トライツ 監訳:吉田純子

定価:22730円 (本体価格2600円+税130円)
サイズ:四六判並製 
320ページ 刊行日2007年3月 
ISBN978-4-409-14062-8 (文学/批評)

目次

まえがき

第1章 「思いきって、おれに宇宙をかきみだせるのか」 ポストモダン期の思春期文学/第2章 「ぼく、歌詞を知らないんです」 思春期文学にみる制度的言説/第3章 「書くということはこいうことなのかもしれない。中身を変えて、、本当のことがわからないようにカムフラージュする」 思春期文学にみる権威の逆説/第4章 「とつぜん、わたしはイってしまった」 思春期小説にみるセックスと権力/第5章 「思いどおりに焦点をあわせるとき」 思春期文学にみる死と物語の結末/第6章 結論 思春期文学のポスト構造主義的教育性

訳者あとがき/注/文献一覧/索引


著者・内容紹介

ロバータ・シーリンガー・トライツ Roberta Seelinger Trites
イリノイ州率大学総合科学部英文科教授,大学院研究所長。児童文学会(ChLA)副会長(2005‐2006年),会長(2006-2007年)。ChLAの季刊誌 Children's Literature Association Quarterly 編集長(2004‐2006年)。専門は、アメリカ思春期文学。単著に『ねむり姫がめざめるとき』(Iowa UP)と近刊 Mark Twain and Louisa May Alcott: Adolescent literature and Reform (Iowa up)。その他、共著も含めて多数の論文がある。『ねむり姫がめざめるとき』は、1997年にアメリカ図書館教会の選定図書に指定され、2002年に阿吽者より邦訳が刊行された。また本書は、2002年にアメリカの児童文学協会の図書賞を受賞している。

吉田純子 よしだ じゅんこ (監訳者)
1946年生。立命館大学大学院文学研究科修士課程修了。神戸女学院大学英文学部英文学科教授。専門は,アメリカ文学,特にアメリ思春期文学の文化論的研究。『アメリカ児童文学―家族探しの旅』(阿咋社,1992年),『少年たちのアメリカー思春期文学の帝国と〈男〉』(阿咋社,2004年),『身体で読むファンタジー―フランケンシュタインからもののけ姫まで』(共著,人文書院,2004年)など。訳書に,ザイプス「赤頭巾ちゃんは森を抜けて』(共訳,阿呼社,1999年)、トライツ『ねむり姫がめざめるとき―フェミニズム理論で児童文学を読む』(監訳,阿吽社,2002年)など。


ヤングアダルト文学を、ポスト構造主義理論をつかって新しい視点から面白く読む。

現代の思春期文学で描かれるティーンエイジャーは、多様な文化・社会的背景をもち、学校、政府、宗教、家族、セクシュアリティ、人種、階級など、さまざまな制度的な力の抑圧を受けて、それらと葛藤しながら生きている。フーコーやアルチュセール、バトラーの権力論を援用して、若者の抑圧とそれを跳ね返して主体として力を得ていく若者像をとらえる。また、ラカンやバフチンの言語理論により、言葉により主体構築される若者の現状に迫る。セックスや死などYA文学に特徴的なテーマも積極的に論じている。充実した作品リスト、索引付。


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