書名:クィア物語論 ―近代アメリカ小説のクローゼット分析

者:松下千雅子

定価:3045円 (本体価格2900円+税145円)
サイズ:四六判上製 
264ページ 初版刊行日2009年10月 
ISBN
978-4-409-14063-5 (文学・カルスタ)

目次

序 章 クィア物語論                

第T部  クローゼットの扉の前で――ヘンリー・ジェイムズのホモフォビックな語り

第一章 クローゼットの獣なんかこわくない?――サスペンス仕立ての「密林の獣」     
第二章 ライバルの死をめぐって――『ロデリック・ハドソン』における予示
第三章 どのストーリーにレズビアンがいますか?――『ボストンの人びと』のプロット分析     
 
第U部 開かれたクローゼットの内側――ウィラ・キャザーの不安なオーサーシップ

第四章 ウィリアム・キャザー・Jr.の不安――ジェンダー、欲望、オーサーシップ    
第五章 父の誘惑――「ポールの場合」のエディプス読解    
第六章 だれが不倶戴天の敵なのか?――信頼できない語り手ネリー・バーズアイ

第V部 見え隠れするクローゼット――アーネスト・ヘミングウェイをクィアする

第七章 インする批評/アウトする批評――ヘミングウェイ批評のクローゼット
第八章 「正しいセクシュアリティ」は語らない――「エリオット夫妻」における行為の内容
第九章 ホモセクシュアルな身体の表象――視点と海の変容          
第一〇章 エデンの園はどこにある?――原稿、編集、そしてアフリカ                                       

終 章 原稿は語り終わらない          

あとがき
引用文献  


著者紹介

松下千雅子( まつした・ちかこ)/1965年大阪生まれ。1990年同志社大学大学院文学研究科博士前期過程修了。1992年ミシガン州立大学大学院英文学専攻修士課程修了。現在、名古屋大学大学院国際言語文化研究科准教授。専門はアメリカ文学、ジェンダー批評、批評理論。
共著に『アーネスト・ヘミングウェイの文学』(今村楯夫編、ミネルヴァ書房、2006年)、『クィア批評』(藤森かよこ編、世織書房、2004年)、『ジェンダーを科学する――男女共同参画社会を実現するために』(松本伊瑳子・金井篤子編、ナカニシヤ出版、2004年)、『ヘミングウェイを横断する――テクストの変貌』(日本ヘミングウェイ協会編、本の友社、1999年)、『フィクションの諸相――松山信直先生古希記念論文集』(南井正廣編、英宝社、1999年)がある。


内容紹介

性愛と作家、ジェンダーと物語

近代アメリカ文学を代表する3人の作家――セジウィックらによりすでにホモセクシャルな欲望を論じられたヘンリー・ジェイムズ、レズビアン作家として知られるウィラ・キャザー、男性的異性愛のイコンとされてきたヘミングウェイを取り上げ、テクストが確かに喚起する性的な欲望と向かいあいながらも、フーコー、バトラーらをふまえ、その欲望が生成される過程や構造を分析する。ゲイかレズビアンか、異性愛か同性愛かという二分化されたセクシャル・アイデンティティのあり方に異議申し立てをする。


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