|
書名:抗いの条件 著者:西城戸
誠 |
目次 |
目次
第1章 問題関心と問題の所在――社会運動の「現在」と本書の問い
1 私たちの暮らしと「社会運動」/2 社会運動の「現在」 2-1 戦後日本の社会運動の動態――イベント分析の知見から 2-2 日本の社会運動の穏健化と社会運動の「現在」 2-3 社会運動概念の拡張の必要性――イベントデータからの示唆(1) 2-4 社会運動概念の拡張の必要性――社会運動とNPOの関係 2-5 抗議活動の「停滞」という現象に対して――イベントデータからの示唆(2)/3 本書の問いと対象とする社会運動 3-1 「社会運動」とは? 3-2 社会運動の類型の留意点と事例の位置づけ 3-3 本書の問いと構成
第2章 社会運動の文化的アプローチ――本書の分析視角
1 社会運動研究の二つのアプローチ/2 社会運動研究における「文化的アプローチ」 2-1 ミクロ動員論の展開(1)――古典的集合行動論から資源動員論 2-2 ミクロ動員論の展開(2)――新しい社会運動論とフレーム分析 2-3 「運動文化」研究の台頭とその評価/3 文化的アプローチにおける理論的な課題 3-1 抗議活動の起点としての「運動文化」 3-2 運動文化が醸成される構造 3-3 フレームの共鳴性分析の批判的検討/4 事例研究の理論的な課題と分析視角
ケーススタディ(1)――抗議活動の盛衰と運動文化・その構造[3〜5章]
第3章 丘珠空港問題――抗議への不満、集合的アイデンティティの形成基盤
1 本章の問いと事例の概要 1-1 本章の問いと理論的課題 1-2 丘珠空港と空港への潜在的な「不満」/2 丘珠空港問題をめぐる抗議活動の諸相 2-1 自衛隊基地反対運動から丘珠空港ジェット化問題へ 2-2 新たな運動の担い手――「市民ネット」の登場 2-3 地元住民による抗議活動の展開 2-4 反対運動の組織化とジェット化問題の帰結 2-5 新たな問題の発生――滑走路延長・拡幅問題/3 分析――なぜ対応が分かれたのか 3-1 問いの確認 3-2 各団体の不満とその変遷 3-3 まとめにかえて
第4章 西岡公園を巡る環境運動――運動団体の文化的基盤とフレーム分析の再検討
1 本章の問いと事例の概要 1-1 本章の問いと理論的課題 1-2 西岡公園周辺の概要/2 抗議活動の経緯と運動団体の性格 2-1 ボート場建設反対運動 2-2 中断状況(1)――反対運動からの転換 2-3 月寒川護岸工事反対運動の展開 2-4 中断状況(2)――他団体との交流と不満の深化/3 分析――バイパス建設反対運動とパークゴルフ場反対運動 3-1 バイパス建設反対運動――投企されたフレーム・その反応と文化的基盤 3-2 パークゴルフ場反対運動――投企されたフレーム・その反応と文化的基盤/4 まとめにかえて 4-1 フレーム分析の再検討 4-2 抗議活動の「中断」と団体の「日常」 4-3 運動文化の継承に向けて
第5章 二つの幌延問題――抗議活動の生起と運動文化の比較研究
1 本章の問いと事例の概要 1-1 本章の問いと理論的課題 1-2 対象地域の概要/2 幌延問題の展開 2-1 低レベル放射性廃棄物から高レベル放射性廃棄物へ――反対運動の激化 2-2 深地層研究所問題の浮上と現在の状況/3 分析 3-1 政治的状況と抗議活動 3-2 住民の「不満」と抗議活動 3-3 資源の有無と抗議活動 3-4 運動組織(動員構造)の動向と抗議活動 3-5 小括――動員構造の変化と抗議活動への影響 3-6 「運動文化」の形成と抗議活動/4 まとめにかえて 4-1 理論的含意の整理 4-2 幌延問題の現在と運動のゆくえ
ケーススタディ(2)――運動の担い手の再生産と運動文化[6〜7章]
第6章 生活クラブ生協・北海道による運動――社会運動の「停滞」「成果」と連帯のゆくえ
1 本章の問いと事例の概要 1-1 本章の問いと意義 1-2 分析視角の確認/2 生活クラブ生協・北海道による運動の展開と現状 2-1 生活クラブ生協・北海道による運動の展開 2-2 生活クラブ生協の運動の位置づけと反・脱原発運動の停滞/3 生活クラブ生協の動員構造と運動停滞の要因 3-1 班別共同購入システムの「教育力」と組合員の連帯 3-2 生活クラブ生協・北海道における班の現在 3-3 運動の停滞の背景(1)――班別共同購入システムに付随するジレンマ 3-4 運動の停滞の背景(2)――組合員意識、かかわり方の変化 3-5 運動の停滞の背景(3)――運動の成果と「外部化」 3-6 運動停滞の要因の整理/4 生活クラブ生協・北海道の連帯のゆくえ 4-1 若い組合員の可能性? 4-2 生活クラブ生協の連帯のゆくえ
第7章 市民風車運動・事業――環境運動のゆくえと地域的公共性の構築に向けて
1 本章の問いと事例の概要 1-1 本章の問いと意義 1-2 市民風車とは何か 1-3 市民風車運動・事業の経緯とそのしくみ 1-4 市民風車・出資者調査の概要/2 市民風車に出資した人々 2-1 出資者(回答者)の属性 2-2 市民風車を知ったきっかけと出資への動機 2-3 出資者の環境意識・日常的な環境行動/3 市民風車に対する三つの動機と市民風車運動・事業の方向性 3-1 市民風車に対する三つの動機 3-2 出資を分けた理由――動機と不安 3-3 出資パターンから見る市民風車運動・事業の方向性/4 市民風車立地点における市民活動 4-1 市民風車運動・事業の狙いと出資者の立地点への関与 4-2 北海道浜頓別町――はまとんべつ「自然エネルギー」を考える会 4-3 秋田県秋田市――市民風車の会あきた 4-4 青森県鰺ヶ沢町――グリーンエネルギー青森 4-5 石狩の市民風車立地点における活動/5 まとめにかえて――市民風車が創造する市民参加と公共性
終章 まとめにかえて――「抗い」の条件と意味
1 事例研究の知見の整理 1-1 ケーススタディ第一部の知見の整理 1-2 ケーススタディ第二部の知見の整理/2 社会運動の文化的アプローチの意義と可能性 2-1 NPO論(研究)に対して 2-2 運動文化の形成という実践に向けて/3 運動の担い手の再生産をめぐって――社会運動・市民活動に関する「強い個人」と「弱い個人」/4 まとめにかえて
あとがき――本書の「ゆらぎ」:社会運動研究者の立ち位置
文献
著者紹介 |
西城戸誠(にしきど・まこと)
1972年、埼玉県生まれ。北海道大学大学院文学研究課博士課程修了。京都教育大学教育学部助教授を経て、現在、法政大学人間環境学部准教授。社会運動論、環境社会学。
論文に、「ボランティアから反戦でもまで 社会運動の目標と組織形態」『社会運動の社会学』(有斐閣、2004年)「イベント分析の展開
政治的機会構成論との関連を中心に」『社会運動という公共空間』(成文堂、2004年)など。
内容紹介 |
市民運動はなぜ生まれ、なぜ沈静化するのか?
市民による抗議運動は、現在もなお多様な形で生起している。それらの活動はどのような条件のもとで生まれ、誰が担い、いかように衰退してゆくのか。国内における複数の運動を丹念に追い、理論的分析により、現場が持つ豊かな可能性を描き出す力作。理論と実践が溶け合う、その運動の原点へ…。