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書名:マブイの往来 ニューカレドニア―日本 引き裂かれた家族と戦争の記憶 著者:津田睦美 |
目次 |
はじめに
第一章 仏領ニューカレドニアの日本人移民
1 流刑植民地ニューカレドニアの成り立ち
コラム1 マティニヨン条約とチバウ文化センター
2 来島する多民族労働者
第二章 比嘉伝三の生涯
1 ニューカレドニアへの旅立ち
2 鉱山からの逃亡と沖縄女性たち
3 逃亡後の伝三と島への定着
コラム2 戦前ニューカレドニア移民の結婚事情
4 結婚とコカンゴンでの生活
コラム3 フランスの植民地におけるコーヒー生産
5 東海岸の沖縄移民たち
6 太平洋戦争の勃発
コラム4 ヌメアの大日本帝国領事館
7 オーストラリアへの強制連行
コラム5 ニューカレドニアにおける米軍と戦争捕虜
第三章 ローラの手紙
1 松田幸三郎の手帖
2 ローラから伝三へ
3 ローラと松田の往復書簡
第四章 引揚げと日系二世の戦後
1 松田幸三郎の沖縄帰還
2 日本人の没収財産と沖縄移民の戦後
3 日系二世の戦後とアイデンティティ
コラム6 ニッポ・カナックの作家
終章 マブイの往来
あとがき
著者紹介 |
津田睦美(つだ・むつみ)/
写真作家、成安造形大学准教授。京都市立芸術大学(日本画専攻)卒業、フランスのEcole d'Arts d'Aix-en-Provence修了(DNSEP取得)。
主な作品制作・執筆テーマは「原爆投下についての日米歴史観の差異」と「ニューカレドニア日本人移民史の視覚化」。
2003年チバウ文化センターのアーティスト・イン・レジデンスに参加。2006年から2007年にかけて「FEU NOS
PERES」展をニューカレドニアと日本各地で開催。2009年度文化庁在外研修員。
単著に『Divergences
d'Hiroshima a` Los Alamos』(英仏二ヶ国語、Blusson,2001)。編著書に『FEU
NOS PERES ニューカレドニアの日系人』(日仏二ヶ国語、青幻舎発売、2006)など。
ホームページ http://www.mutsumitsuda.com/
内容紹介 |
戦争によって壊された家族の強烈な愛情と友情の物語
真珠湾攻撃の翌朝、日本人移民である比嘉伝三はオーストラリアの収容所に強制収容された。残された妻ローラと子供たちは、どんなに夫・父の帰還を待ち望んだことだろう。つたないフランス語の文通はときに通訳を務めた夫の親友松田幸三郎の手帳に記録された。ニューカレドニアには、こうして取り残された日系の子孫たちが今も暮らしている。「天国にいちばん近い島」ニューカレドニアの日本人移民の足跡、強制収容の悲劇、子どもや孫たちの現在を撮りおろしの写真とともに追う。
沖縄移民の手帖に残されたフランス語の恋文。 二人を翻弄した大きな戦争、二人が育んだ大きな親族。 海より深い思いに胸がつまった。 ――国際日本文化研究センター教授 細川周平 |
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これはマブイ(魂)を奪われた沖縄系移民の悲しくも美しい家族愛の物語であり、 戦争という不条理への告発の書でもある。 ――沖縄ニューカレドニア友好協会会長 三木健 |