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書名:「在日」と50年代文化運動―幻の詩誌『ヂンダレ』『カリオン』を読む
編者:ヂンダレ研究会 |
目次 |
はじめに 宇野田尚哉
T 【シンポジウム】いま『ヂンダレ』『カリオン』をどう読むか
報告1 東アジア現代史のなかの『ヂンダレ』『カリオン』 宇野田尚哉
報告2〈在日〉の「原初のとき」をたずねて 丁章
報告3 『ヂンダレ』を声に出して読む 崔真碩
コメント1 『ヂンダレ』の頃 鄭仁
コメント2 「在日を生きる」原点 金時鐘
ディスカッション
U 『ヂンダレ』『カリオン』の詩人たち
権敬沢という詩人 細見和之
サークル詩運動とジェンダー ―李静子の作品を読む 黒川伊織
『ヂンダレ』における鄭仁------サークル詩と現代詩のあいだ
宇野田尚哉
よみがえる記憶-------金時鐘・幻の第三詩集『日本風土記U』を読む 浅見洋子
「対関係」と「投壜通信」の精神 愛沢革
V 資料編
解題 宇野田尚哉
『ヂンダレ』『カリオン』創刊の辞
〈『ヂンダレ』表題詩〉「ヂンダレ」 金時鐘
〈『ヂンダレ』〉「創刊のことば」 朝鮮詩人集団
〈『カリオン』〉「創刊にさいして」 グループ「カリオンの会」
『ヂンダレ』『カリオン』詩作品抄
朴実「西の地平線」/ 梁元植「こ奴 お前 やつぱり
俺の弟だ」/金希球「大阪の街角」/李静子「帽子のうた」「涙の谷」/権敬沢「地下足袋」「めぐりあい」/鄭仁「自動車耐久レース」「街」/洪允杓「鳩と空席」/梁正雄「実験解剖学」/金時鐘「わが性わが命」/趙三龍「捨てられた言葉について―K君に―」
評論再録―『ヂンダレ』論争とその周辺
洪允杓「流民の記憶について―詩集「地平線」の読後感より」
金時鐘「私の作品の場と「流民の記憶」」
金時鐘「盲と蛇の押問答―意識の定型化と詩を中心に」
金時鐘「第二世文学論―若き朝鮮詩人の痛み」
鄭仁「朝鮮人が日本語で詩を書いていることについて―「ヂンダレ」創作上の問題―」
梁石日「海底から見える太陽―日本の中の朝鮮」
年表 宇野田尚哉
おわりに 細見和之
内容紹介 |
朝鮮戦争とその後の政治的激動を生きた在日朝鮮人青年たちが時代と格闘しつつ遺したテキストを読む
詩人金時鐘、作家梁石日を知る上でも欠くことのできないサークル誌・同人誌として知られてきた幻の詩誌『ヂンダレ』『カリオン』
日本の植民地支配、終戦。そしてその後の朝鮮戦争に引き裂かれた故国に思いを馳せながら当時在日の青年たちはどのような思いを抱いていたのか。朝鮮総連の政治的要請からはじまり金時鐘を中心に創刊された幻の詩雑誌『ヂンダレ』『カリオン』。梁石日の自伝的著作『修羅を生きる』などでも知られる。しかし、それは、当初の政治的目的を離れ、在日文学のはじまりともいえる意味合いをもって独自の文化運動となっていった。金時鐘と鄭仁を招き開かれた当時を振り返ったシンポジウムの記録ほか、新たに若い世代とともに読み直す試み。資料編として、金時鐘の50年代の評論や梁石日の初期の作品など『ヂンダレ』『カリオン』他から当時の貴重な詩や評論を収録する。
ヂンダレ研究会
ヂンダレ、カリオンを読むためにはじまった研究会
宇野田尚哉(神戸大学国際文化学研究科准教授)細見和之(大阪府立大学人間社会学部教授)在日3世の詩人、朝鮮文学研究者、学生など様々なメンバーで構成される。