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書名:「貧困の放置は罪なのか―グローバルな正義とコスモポリタニズム
著者:伊藤恭彦 |
目次 |
序章 貧困に苦しむ人々と私たちグローバルな正義の課題
一 世界の貧困の実態
二 貧困撲滅に向けて
三 グローバルな正義とコスモポリタニズム
第一章 貧困の放置は罪なのか貧困の撲滅をターゲットとするグローバルな正義
一 はじめに
二 日常生活に潜む新マルサス主義
(一)救命ボートの倫理
(二)「救命ボートの倫理」の問題性地球の事実
(三)「救命ボートの倫理」の問題性地球の倫理
(四)シンガーの提案
(五)自発的移転と慈善行為の問題点
三 日常生活に潜むリバタリアニズム
(一)私のものは私のものか
(二)自己労働に基づく所有と自由市場モデルの問題点
(三)社会システムの評価
(四)グローバルな正義のミニマム構想国際分配政策の倫理的基礎
四 日常生活に潜むナショナリズム
(一)身近な人を優先すべきか
(二)共通の権力がないことをどう考えるのか
(三)近親者優先の倫理とグローバルな正義
五 まとめ
第二章 シャンパングラスと暴力グローバル資本主義改革を目指す正義
一 はじめに
二 格差と暴力
(一)経済的格差と力の格差
(二)過去の暴力
(三)グローバル化する経済と構造的不正義
(四)格差を真剣に考える
三 構造的不正義とグローバル資本主義
(一)構造的暴力と構造的不正義
(二)グローバル資本主義と構造的暴力
四 グローバルな分配的正義
(一)分配的正義の射程
(二)構造的暴力の現場を改革する
(三)エンパワーメントとしてのグローバルな正義
(四)グローバルな分配的正義の妥当性
五 まとめ
第三章 正義を実践するグローバルな正義と国際公共政策
一 はじめに
二 ODA政策の改革
(一)ODA政策の現状
(二)ODAの現状とグローバルな正義
(三)国益とグローバルな正義
(四)グローバルな正義と自己利益
三 グローバルな税制の可能性
(一)トービン税と国際連帯税
(二)地球資源税・地球資源の配当
(三)グローバルな税の倫理的正当性
四 グローバル資本主義の改革
(一)生産的正義
(二)私的であり社会的である企業
(三)多国籍企業課税
(四)グローバル・コンパクト多国籍企業システム改革のための政策
(五)フェア・トレード
五 まとめ
第四章 コスモポリタニズムの倫理とグローバルな正義――改革と共生への希望
一 はじめに
二 共生の思想としてのコスモポリタニズム
(一)多様性と差異の中のコスモポリタニズム
(二)コスモポリタニズムの危うさ
(三)帝国とコスモポリタニズム
三 グローバル資本主義、グローバルな正義、コスモポリタニズム
(一)グローバル資本主義の二面性
(二)グローバルな正義
(三)政治と希望
あとがき
引用・参考文献
事項索引/人名索引
内容紹介 |
富裕国から貧困国へ 所得の2%移転は義務である
グローバリズムの影で過酷さを増す世界の貧困と格差。その解消のために、富裕国に住む我々にはいかなる義務があるのか。拡がりを見せるグローバル・ジャスティスの議論から丹念に説き起こす、比類なき熱き思考。著者渾身の一作。
伊藤恭彦(いとう・やすひこ)
1961年生まれ。大阪市立大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得。現在、名古屋市立大学大学院人間文化研究科教授。著書に、『多元的世界の政治哲学 ジョン・ロールズと政治哲学の現代的復権』(有斐閣、2002年)。共編著に、『ポスト・リベラリズム 社会的規範理論への招待』(2000年)、『現代規範理論入門 ポスト・リベラリズムの新展開』(2004年)、『ポスト・リベラリズムの対抗軸』(2007年)、いずれもナカニシヤ出版。訳書に、リーアム・マーフィー、トマス・ネーゲル『税と正義』(名古屋大学出版会、2006年)。