書名:「貧困の放置は罪なのかグローバルな正義とコスモポリタニズム

者:伊藤恭彦

定価:3360円 (本体価格3200円+税160円)
サイズ:四六判上製 
300ページ 初版刊行日2010年5月 
ISBN
978-4-409-24089-2 (社会 )

目次

序章 貧困に苦しむ人々と私たちグローバルな正義の課題
 一 世界の貧困の実態
 二 貧困撲滅に向けて
 三 グローバルな正義とコスモポリタニズム

第一章 貧困の放置は罪なのか貧困の撲滅をターゲットとするグローバルな正義
 一 はじめに 
 二 日常生活に潜む新マルサス主義
  (一)救命ボートの倫理
  (二)「救命ボートの倫理」の問題性地球の事実
  (三)「救命ボートの倫理」の問題性地球の倫理
  (四)シンガーの提案
  (五)自発的移転と慈善行為の問題点
 三 日常生活に潜むリバタリアニズム
  (一)私のものは私のものか
  (二)自己労働に基づく所有と自由市場モデルの問題点
  (三)社会システムの評価
  (四)グローバルな正義のミニマム構想国際分配政策の倫理的基礎
 四 日常生活に潜むナショナリズム
  (一)身近な人を優先すべきか
  (二)共通の権力がないことをどう考えるのか
  (三)近親者優先の倫理とグローバルな正義
 五 まとめ

第二章 シャンパングラスと暴力グローバル資本主義改革を目指す正義
 一 はじめに
 二 格差と暴力
  (一)経済的格差と力の格差
  (二)過去の暴力
  (三)グローバル化する経済と構造的不正義
  (四)格差を真剣に考える
 三 構造的不正義とグローバル資本主義
  (一)構造的暴力と構造的不正義
  (二)グローバル資本主義と構造的暴力
 四 グローバルな分配的正義
  (一)分配的正義の射程
  (二)構造的暴力の現場を改革する
  (三)エンパワーメントとしてのグローバルな正義
  (四)グローバルな分配的正義の妥当性
 五 まとめ

第三章 正義を実践するグローバルな正義と国際公共政策
 一 はじめに
 二 ODA政策の改革
  (一)ODA政策の現状
  (二)ODAの現状とグローバルな正義
  (三)国益とグローバルな正義
  (四)グローバルな正義と自己利益
 三 グローバルな税制の可能性
  (一)トービン税と国際連帯税
  (二)地球資源税・地球資源の配当
  (三)グローバルな税の倫理的正当性
 四 グローバル資本主義の改革
  (一)生産的正義
  (二)私的であり社会的である企業
  (三)多国籍企業課税
  (四)グローバル・コンパクト多国籍企業システム改革のための政策
  (五)フェア・トレード
 五 まとめ

第四章 コスモポリタニズムの倫理とグローバルな正義――改革と共生への希望
 一 はじめに
 二 共生の思想としてのコスモポリタニズム
  (一)多様性と差異の中のコスモポリタニズム
  (二)コスモポリタニズムの危うさ
  (三)帝国とコスモポリタニズム
 三 グローバル資本主義、グローバルな正義、コスモポリタニズム
  (一)グローバル資本主義の二面性
  (二)グローバルな正義
  (三)政治と希望

あとがき
引用・参考文献
事項索引/人名索引


内容紹介

富裕国から貧困国へ  所得の2%移転は義務である

グローバリズムの影で過酷さを増す世界の貧困と格差。その解消のために、富裕国に住む我々にはいかなる義務があるのか。拡がりを見せるグローバル・ジャスティスの議論から丹念に説き起こす、比類なき熱き思考。著者渾身の一作。 


伊藤恭彦(いとう・やすひこ)
1961年生まれ。大阪市立大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得。現在、名古屋市立大学大学院人間文化研究科教授。著書に、『多元的世界の政治哲学 ジョン・ロールズと政治哲学の現代的復権』(有斐閣、2002年)。共編著に、『ポスト・リベラリズム 社会的規範理論への招待』(2000年)、『現代規範理論入門 ポスト・リベラリズムの新展開』(2004年)、『ポスト・リベラリズムの対抗軸』(2007年)、いずれもナカニシヤ出版。訳書に、リーアム・マーフィー、トマス・ネーゲル『税と正義』(名古屋大学出版会、2006年)。


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