暴力と音 平井 玄 著 |
四六判 上製 276頁 本体価格2400円 ISBN4-409-04053-7(専門・教養/思想) |
≪目次≫ V あとがき |
≪著者、内容紹介≫ 平井 玄 ひらい げん 著者は,あるときは「希望としての暴力」をベンヤミン,ファノン,サイード,デリダの哲学から汲み取り、あるときはグレン・グールド、シェーンベルク、アドルノ、黒人音楽に暴力の時代の苦悩の表現をみる。音楽は人間の最もエモーショナルな部分に訴えて、人間に美的快楽をもたらすとともに、崇高にも野蛮にも駆り立てる。ブレヒトやクルト・ヴァイルのめざした革命の音楽は、「ホルスト・ヴェッセル」のようなファシストの音楽に呑み込まれた。その痛恨の歴史も忘れてはならない。このように、音楽のもつアレゴリーの二面性を著者は強調する。本書のもう一つの柱は、日本の資本主義を底辺で支える日雇い労働者やホームレス、フリーターへの熱いまなざしである。超高層ビルの林立する新宿の西口地下に並ぶダンボール・ハウスの群れ。あるいはコンピュータ制御の職場やコンビニで働く膨大な「下層フリーター」を通し、今日の階級や労働の意味と可能性を追究する。日本と世界が新たに生成する方途はどこにあるのか。暴力の第三の時代に「暴力と音」という視点からこのアポリアに挑戦した、特異な思想家の力作評論。 |