書名:ミレー《晩鐘》の悲劇的神話 パラノイア的=批判的解釈 著者:
サルバードール・ダリ 価格:2800円 |
目次 |
プロローグ 第一部 第二部 第三部 補遺 註 |
訳者・内容紹介 |
鈴木雅雄 すずき まさお.
1962年生。東京大学大学院博士課程中退。パリ第7大学博士課程修了。早稲田大学助教授。シュルレアリスム研究。
主著訳書:『文化解体の想像力』(編著、人文書院)、『シュルレアリスムの射程』(編著、せりか書房)、シェニウー・ジャンドロン『シュルレアリスム』(共訳、人文書院)、ブルトン『魔術的芸術』(共訳、河出書房新社)
天才ダリの幻の、唯一の理論書
ご存知天才画家サルバドール・ダリ、彼には絵画だけでなくさまざまなテクストがあるが、本書は彼の絵画観をあらわした唯一の理論書。個人的にダリがラカンと交際があったことは有名な話だが、本書の内容はまさにそれを裏書するものとなっている。フロイトの理解にはじまり精神分析は、シュルレアリスムにとってエキゾティシズムと並ぶ二大テーマであるが、ダリの精神分析理解が同時代にあっていかに深いものであったかがわかる。ダリにとっての強迫であった、ミレーの名作《晩鐘》を題材に、自身のさまざまな妄想やその解釈が開示されている。絵画などのファインアートだけでなく、多数のポストカードなども図版として挿入されており、一大奇書の観を呈しているが、精緻な内容からすれば、ダリ・ファンだけでなく、ひろく思想的関心にも応えるものである。図版多数。