書名:アラーの神にもいわれはない ――ある西アフリカ少年兵の物語 著者:アマドゥ・クルマ 価格:2400円 |
目次 |
アラーの神にもいわれはない/詳細訳注/冷戦後の寓話、その闇――訳者解題 |
著者・内容紹介 |
アマドゥ・クルマ
1927年生。コートディヴォワールの作家。寡作ながら、「現代のグリオ」の異名で称される巨匠。いずれも複数の文学賞に輝く四つの小説。『独立の太陽』(1965)、『モネ、侮辱、挑戦』(1990)、『野獣の投票を待ちながら』(1998)、『アラーの神にもいわれはない』(2000)のほか、戯曲『トゥニャンティギ、あるいは真実の語り手』(1998)など。フランス語を「アフリカ化する」破格の文体と西アフリカの口承文芸に求められる鋭敏な言語感覚とが特徴。
真島一郎 まじま いちろう
1962年生。東京大学大学院博士課程単位収得退学(文化人類学)。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助教授。国立コートディヴォワール大学民族=社会学研究所客員研究員。『現代アフリカの紛争』(共著、2000)、『植民地経験』(共著、1999 品切)『文化解体の想像力』(共編著、2000)ともに人文書院刊。
世界史上未曾有の悲劇、チャイルド・ソルジャー
片手にテディベア、もう片方の手にカラシニコフを抱えた少年の奇怪な映像はあまりに衝撃的だ。冷戦後アフリカの最悪の紛争、リベリア・シエラレオネ両国の内戦(1991−2002)において数万人の少年兵が生み出された。現代のグリオの異名をとる作家は、深い同情と激しい憤りでもって、この痛ましい現実を告発する――「もうこの世には、父さんも母さんも兄さんも姉さんも、だれもいないっていうのに、自分がまだチビ助だったらいったいどうするよ? ・・・もちろんそいつは子ども兵になるのよ。食いものにありつくために、スモール・ソルジャーやらチャイルド・ソルジャーやらになるのよ。そしてこんどはそいつにもお鉢がまわって、てめえがだれかの喉を掻っ切ることになるわけよ。いきつく先は、もうそれっきゃ残っちゃいねえんだ」。