書名:空海 民衆と共に 信仰と労働・技術 著者:河原 宏 定価:2310円(本体価格2200円+税110円) |
目次 |
はじめに 信仰と現世利益 宗教と技術 エンジニア・エンジニアリングの理想 「橋」・「道」・「塔」――象徴の系譜律令国家への対応 仏国土の建設を目指して
第T編 役行者――「仏国土」への夢と挫折 第U編 行基の「道」――「知識」による諸事業 第V編 空海 民衆と共に 注/あとがき |
著者・内容紹介 |
河原 宏 かわはら ひろし
1928年東京生まれ。1959年、早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。政治学博士。現在、早稲田大学名誉教授。専攻、日本政治思想史。
主著:『昭和政治思想研究』(早稲田大学出版部、1978)、『江戸の精神史―美と志の心身関係』(ぺりかん社、1992)、『日本人の「戦争」―古典と死生の間で』(築地書館、1995)、『「自在」に生きた日本人』(農文協、1998)、『青年の条件―歴史のなかの父と子』(人文書院、1998)、『素朴への回帰―国から「くに」へ』(人文書院、2000)他。
主編著:『日中関係史の基礎知識―現代中国を知るために』(有斐閣、1974)、『比較ファシズム研究』(成文堂、1982)、『日本思想の地平と水脈』(ぺりかん社、1998)他。
ワンポイント:≪エンジニア空海≫の事跡を通して宗教と科学、テクノロジー社会の未来を洞察する! |
近代以降、科学は宗教を排斥して自らが求める唯一の「真理」を掲げ、技術はテクノロジーとなって実利目的の追求にひた走ることになった。21世紀に入ってそれはますます加速の度を高めている。しかし、歴史をたどれば、医学・薬学はもとより数学・天文学・化学から建築・灌漑・土木の諸技術まで、すべて深い宗教的確信と情熱の産物ではなかったか。本書は、「役行者」「行基」をその先蹤として、わが国が生んだ最高の宗教者「空海」を一人のエンジニアとしてとらえるユニークな視点から、衆生済度、万人の利福が科学やテクノロジーといかに関わるべきか、現代社会がかかえる焦眉の問題に分け入った、かつてない空海論の労作。