書名:パウロ ―伝道のオディッセー 著者:E・ルナン 価格:2400円 |
目次 |
第一次の旅―キプロス:旅立ち―厳かなひととき "寒さに凍え、裸でいたこともあった =@ テント職を生業にしながら キプロス島に到着 バルナバ/第一次の旅―ガラテヤ:大賑わいの俗信、迷信 アウグストゥスの皇帝信仰 アレクサンドロス大王の魂を持つパウロ イコニウム リストラ、デルベ ガラテヤの教会/割礼にまつわる最初の事件:イエスはどう考えていたか ユダヤ教徒にとっての割礼 ユダヤ教のハラカとアガダ 揶揄される割礼 普遍宗教への分かれ道 キリスト教初の盛大な時 ヤコブ 対立を乗り越えたエスノへの愛/キリスト教のひそかな広まり―ローマに進出:ローマのキリスト教徒 劣悪な環境下のユダヤ人 ローマ教会発祥の地―ゲットー ローマ教会はパウロの創設ではない/第二次の旅―ガラテヤ州再訪:歴史から忘れられた献身の女たち シラスと共に旅する 新たな伝道への天の声 小アジアへの道 ルカと出会う/第二次の旅(続)―マケドニア:マケドニアとギリシ ヤ フィリビに到着 青空伝道を開始 キリスト教会に最大の貢献をした女たち ひと悶着、鞭打たれる フィリビを発つ―オリンポス山を望む テサロニケ、布教を再開 べレア伝道 、純粋な信仰を求める女たち/第二次の旅(続)―アテナイ:初めて見るギリシヤ うるわしい女神像にむかつく アテナイの町 アテナイの宗教 アテナイの学校 アレオパゴスで演説する キリスト教と異教 徒を両立させる試み キリスト教に適しない土壌 ヘレネスとキリスト教のすれ違い ケルト/ゲルマンとヘレネスとの違い ギリシア正教の特色 /第二次の旅(続)―コリント:服の塵を払って去る 腐臭の中から生まれた宗教 ガリオンの裁定 手紙をしたためるパウロ/第二次の旅(続)―新教会の内部事情:未だ経典はない 無類のパウロの手紙 やさしく、しばしば高圧的なパウロ 初期教会の風景 道徳的ロマンティスム 俗務に賢く 、天の国に愚か その時以前の死者はどうなる 主はいつ来られるのか この世の悲しみ、安らぎの集会 主の晩餐の推移 復活祭とペンテコスト イエス神格化の兆し この世は亡命生活/アンティオキアに帰る:ペテロは妻帯していた 教会内の亀裂 ヤコビの横槍 パウロ、 ペテロを難詰する ユダの手紙 ヤコブの法王化/ガラテア教会の内紛:イエスに会ったことがあるかと罵られて 朝鮮を受けて立つ パウロの一方的な主張か/第三次の旅―エフェソ教会の設立:エフェソに向かう 都会の退廃から発芽するキリスト教 悪魔祓いと見られる/アジアとフリギアにおけるキリスト教の発達:二番目の神の国 フリギア南部のスケッチ パウロの"戦友≠スちのたちの活動 フリギアの国柄 忘却されたパウロ/コリント教会の亀裂:コリント人気質 教唆する密使 不条理と見られたパウロの説 教会の腐敗が始まる コリント人への手紙 危機迫る日々の男女関係 偶像に供えた肉について パウロの考える女性の役割 主の食事 霊の顕現の理論 賛嘆すべきページ 霊の識別 死者の復活/第三次の旅(続)―多額の募金、エフェソの出立:愛の貯金 門前町のみやげ物屋たちが怒る エフェソ教会のその後/第三次の旅(続)―マケドニア再訪:コリントを憂慮する 舌鋒鋭く反論する イエルサレム教会のために募金する/第三次の旅(続)―コリント再訪『ローマ人への手紙』:神学理論を要約する 罪のくびきから、義しさのくびきに 慈悲を垂れる神 ユダヤ教ときっぱり断絶する ネロを神に使える者と見る 食事の戒律は神の国とは無縁 ロマ書 、パウロ教義の圧巻 出発を決意、新たなプロジェクト/ イエルサレムに帰る:トロアス、サモス島、ミトレス カイサリアにて死ぬ覚悟はできている/イエルサレムに最後の逗留、逮捕される:ヤコブとの会見 守旧派の提案 気高いパウロの妥協 鷹の兄弟たちが黒幕か? ローマ軍の介入私はローマ人=@ 巧みな論争 カイサリアに護送される/パレスチナのカイサリアで囚われる:パウロの抗弁 拘禁中の活動 "皇帝に上訴します/囚われのパウロの旅:"良い港を出たが=@十四日の間、漂流する マルタ島に漂着 ローマへ上る/パウロの事業を短評する:わずか十数人の信者の教会 二世紀におけるパウロの不人気 三、四、五世紀と中世におけるパウロ評価 宗教改革後に栄光 ルターに似通う人物 凄まじい神学を生み、暗礁となった/パウロの回心:生い立ち 使用語 手紙にみなぎる才気、風貌 気質、学問、教養 迫害するものとして猛威を振るう 回心の場所をフィールド・スタディー "ネッソスの上着 =@ 目から鱗が落ちた "プロテスタント≠フパウロ 訳者あとがき |
著者・内容紹介 |
忽那錦吾 こつな きんご
1932年生。神戸大学経営学部中退。仏国郵船会社、川崎重工をへて鞄仏技術と画商を経営。
編訳:『フランスを創った人びと』(ラジオ・フランス)、『大乗と小乗の世界』(永井財団)を編集、『船荷証券論』(P・ウエルディエ著、陽報出版)
、『イエスの生涯』(E・ルナン著、人文書院)を翻訳。
ユダヤ文明とギリシア・ローマ文明、文明の衝突に捨て身で向かったイエス第一の使徒の伝道の旅
名著『イエスの生涯』(00年刊行4刷)に続く、『キリスト教起源史』の第三部『パウロ』──その情熱とエネルギッシュな伝道活動で、イエス没後最初のプロテスタントと言われたパウロの実像を追い求める背景に、19世紀のドイツとフランスの衝突の渦中のルナン自身を重ねた本書は、21世紀グローバル時代の文化摩擦と衝突の問題理解へも資するところ大であろう。本邦初訳