書名:
混在するめぐみ(叢書文化研究4)
       ポストコロニアル時代の宗教とフェミニズム

著者:黒木雅子 川橋範子

価格:2300円
サイズ:四六判上製 216
ページ 刊行日2004年4月 
ISBN4-409-53029-1 (専門/人類学)

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目次
プロローグ  川橋範子・黒木雅子

混在するめぐみのトリロジーへはじめに/差異のポリティクス/戦術としての「主人の道具」/「褐色の女性を救う」/コロニアリズムを越えて  川橋範子 ・黒木雅子  フェミニスト・エスノグラフィー――「女性の経験」をいかに語るか:はじめに/リサーチ・プロセス/エスノグラフィーを書くこと/フェミニスト・リサーチの なかの対立/フェミニスト・リサーチのなかの差異/誰のためのエスノグラフィーか/フェミニスト・エスノグラフィーの可能性 川橋範子・黒木雅子  仏教会の女性運動――実践としてのフェミニスト・エスノグラフィー:二重のポジション/二つの言説/フィクションとしての出家主義と女性/語る権利はだれ のものか/仏教を創り直す女性たち/ネットワークという実践と対話/語りだす仏教女性たち/差異が拓く絆 川橋範子  ジェンダー・エスニシティ・宗教――日系アメリカ人女性のアイデンティティ交渉:はじめに/フェミニスト神学の なかの差異/「主人の道具」を流用して/日系アメリカ人キリスト教女性の自己定義/むすびにかえて 黒木雅子  

エピローグ 川橋範子・黒木雅子

註/あとがき/参考文献/主要事項索引/主要人名索引
 


著者・内容紹介

川橋範子 かわはし のりこ
1960年東京生まれ。プリンストン大学大学院博士課程修了(宗教学)。Ph.D.を収得。現在名古屋工業大学大学院助教授。専門は宗教学。
著書:『アジア世界――その構造と原義を求めて(上)』(共著、八千代出版、1998)、『現代日本と仏教 第三巻』(共著、平凡社、2000)、『琉球、アジアの民族と歴史』(共著、国立歴史民俗博物館比嘉政夫教授退官記念論集、榕樹書林、2002)
主論文:「ポストコロニアル状況における宗教とジェンダーの語り」(『地域論集』 3(2),  2000)、「『他者』としての『日本女性』――欧米の「水子供養」批判」(『民俗学研究』 68(3)、2003)など。

黒木雅子 くろき まさこ
1951年神戸生まれ。カリフォルニア州立大学ヘイワード校修士課程修了。(社会学)。パシフィック宗教大学院修士課程修了(宗教と社会学)。現在京都学園大学人間文化学部教授。専門は社会学、助成額、宗教と社会。
著訳書:『異文化論への招待――「違い」からの自文化再発見』(朱鷺書房、1996)、『阪神・淡路大震災の社会学第2巻』(共著、昭和堂、1999)、『現代宗教2002』(共著、東京堂出版、2002)、L・タトル『フェミニズム事典』(共著、明石書店、1991)、A・レイ『主婦――忘れられた労働者』(共訳、勁草書房、1993)、
主論文:「日経アメリカ女性の自己再定義――エスニシティ・ジェンダー・宗教の交錯」(『社会学評論』 50(1)、1999)


フェミニズム、宗教、ポストコロニアリズムの考えが相互補完的に、父権制に挑戦し女性の自己理解を助け、その主体の再定立に貢献できる可能性をさぐる。

宗教とフェミニズムが交差する場は複雑に入り組んでおり、オリエンタリズム批判もくわわった女性の語りには複合的な視座が要求される。しかしこの複雑な語りの交差するところにこそ現代の女性の宗教的主体への「めぐみ」――自己再生の可能性がある。宗教は「女性を抑圧する家父長制の道具」なのか「社会の底辺にある女性に救いをあたえてきた」のか。この矛盾する二面性ゆえに、フェミニズムと宗教をつなげる試みは不毛なものと軽視されてきた。しかし、本書で論じられるようにフェミニズムは宗教を批判するだけでなく再生をも可能にし、フェミニズムも宗教によって新たなチャレンジを見出すこともある。互いに立場を違える二人のダイアローグから生まれた、これまでにない画期的論考

書評:「フェミニズムと宗教の不幸な関係を変えるために」 評者:小松加代子

 


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