書名:
コモンズの人類学
      
文化・歴史・生態

著者:秋道智彌

定価:2730円 (本体価格2600円+税130円)
サイズ:四六判上製 248
ページ 刊行日2004年9月 
ISBN4-409-53031-3 (専門/人類学・地域史)

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目次
序論 コモンズ人類学:自然は誰のものか  コモンズとは  「共有の悲劇」論  共有論の視座と着眼点  本書の構成

第一部 文化としてのコモンズ
第一章 再生するコモンズ
――パプアニューギニア低地におけるサゴヤシ利用:ギデラの生業と森  ギデラと森林  森の所有と利用/第二章 サシとアダット――インドネシア東部の資源管理:サシとはなにか  サシの多様な展開  サシの人類学的意義/第三章 アブーとモラー――ソロモン諸島マライタ島の海面所有:マライタ島のラウ漁撈民  サンゴ礁における海面所有  資源開発と海のコモンズ

第二部 歴史のなかのコモンズ
第四章 サンゴ礁の分割と共有
――パプアニューギニア・マヌスの海面利用史:マヌスの生業複合とその変化  海の利用と所有権  リーフをめぐる紛争と海のコモンズ/第五章 マングローブの生態史――タイ南部アンダマン海沿岸域の一〇〇年:マングローブの開発史とタイ  伐採禁止と住民の対応  伐採禁止のあとに/第六章 森林のゆくえと国家――中国雲南省西双版納の森林利用:雲南省の森林の変貌  チノー族の森林利用史  森林産物の利用と変化  蝶とコモンズ/結びにかえて――コモンズの新地平とエコ・コモンズ:神聖性のなかのコモンズ/曖昧さのコモンズ  エコ・コモンズの提唱

文献/あとがき/主要事項索引


著者・内容紹介

秋道智彌 あきみち ともや
1946年京都府生まれ。京都大学理学部動物学科、東京大学大学院理学系研究科人類学修士課程修了、同博士課程単位修得。国立民俗博物館助手、助教授、教授、総合研究大学院大学先導科学研究科併任教授を経て、2001年より総合地球環境学研究所教授、現在に至る。理学博士。選考は、生態人類学、海洋民族学、民俗生物学。
日本、東南アジア、オセアニア地域において、生態人類学的調査・研究に従事。総合地球環境研究所では、アジア熱帯モンスーン地域の生態史的研究を統括。
主著:『海洋民族学』(東京大学出版会)、『なわばりの文化史――山・川・海の資源と民俗社会』(小学館)
編著:Coastal Foragers in Transition. Senri Ethnological Studies No42 (National Museum of Ethnology)、『自然はだれのものか――「コモンズの悲劇」を超えて』(昭和堂)、『紛争の海――資産資源管理の人類学』(人文書院)など。


地域と地球の環境問題のキーワード=コモンズを考察

コモンズとは共有地や共有資源の取得・保全についての地元の文化的しきたりや智恵のこと。「自然は誰のものか」という切実な疑問を前に、コモンズ論は今や環境人類学・環境社会学の重要な研究課題になった。著者はパプアニューギニア・インドネシア東部・ソロモン諸島・タイ南部・中国雲南省などのフィールドワークを長年重ね、現地に根づいているコモンズの実態と問題を本書にまとめた。本書はグローバルな視点を提供するだけでなく、日本の環境問題や資源保全を考える指針にもなる。


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